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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

特集 研究室で役に立つ新しい試薬

糖関連化学物質(試薬) 糖鎖分解酵素(グリコシダーゼ)

シアリダーゼ

著者: 宮城妙子1

所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所生化学

ページ範囲:P.508 - P.509

文献概要

 シアリダーゼ(EC3.2.1.18)は,糖タンパク,糖脂質,オリゴ糖などの末端に結合しているシアル酸を遊離させる加水分解酵素で,糖鎖構造研究のみならず,複合糖質におけるシアル酸の生理的役割の解析にも用いられ,近年,試薬としての重要性がますます増加している。
 シアリダーゼは,インフルエンザウイルスの赤血球凝集反応の研究が発端となって発見され,ウイルス,細菌,放線菌などの微生物や動物に広く分布している。これらのうち,ウイルスや細菌からは高純度のシアリダーゼが得られており,性状も詳しく調べられて,試薬としてよく利用されているが,動物からは精製標品が得がたく,性状も不明な点が多い。試薬として使用する際に留意すべきことは,シアリダーゼ標品の純度と基質特異性に関する情報の把握である。酵素標品は純度が高いほど良いが,とくに蛋白分解酵素活性や他の糖鎖分解酵素活性を含んでいてはならない。また,シアリダーゼ活性は,基質のシアリル結合やシアル酸の置換基の種類によって影響を受け,後者についてはとくにN-アセチルノイラミン酸がN-グリコリルノイラミン酸よりも加水分解されやすいことが知られている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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