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特集 研究室で役に立つ新しい試薬 糖関連化学物質(試薬) 糖鎖
糖蛋白質糖鎖
著者: 古川清1
所属機関: 1東京大学医科学研究所生物有機化学研究部
ページ範囲:P.521 - P.522
文献購入ページに移動糖蛋白質中の糖鎖は,アスパラギン(Asn)残基の酸アミド基や,セリン(Ser),スレオニン(Thr)残基の水酸基と結合して存在する。Asn結合糖鎖はその生合成過程にそって,高マンノース型,混成型,複合型に分類される(表-1A)。いずれの糖鎖もManα1→6(Manα1→3)Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAcの母核構造を有するが,側鎖構造が異なる。複合型の側鎖構造は一般にNeu5Acα2→3or6Galβ1→4GlcNAcであるが,この構造がさらに修飾され多数の異なる糖鎖が生じる(表-1A)。これらの糖鎖構造の差は,個体の臓器特異性,種特異性,細胞内局在性,癌性変化として見られるが1),同一蛋白質でもミクロ不均一性としても発現する。
一方,Ser/Thr残基に結合するムチン型糖鎖は,その鎖長に不均一性が見られ,単糖から20糖の大きさに及ぶ2)。糖鎖はGa1β1→3GalNAcおよびGlcNAcβ1→3GalNAcの母核構造と,これらの母核のGalNAc残基にGlcNAcがβ1→6で結合した糖鎖(4種類)に分類される(表-1B)。
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