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特集 核内蛋白質
核マトリックスのDNA結合部位
著者: 筒井研1
所属機関: 1岡山大学医学部癌源研究施設生化学部門
ページ範囲:P.529 - P.532
文献購入ページに移動 核マトリックス(nuclear matrix)は本来,Berezney & Coffey1)によって使われた用語で,分離核を高濃度の塩,非イオン性界面活性剤,ヌクレアーゼの順に処理して可溶化されない,主として蛋白質からなる構造体を意味する。その他多くの研究者が,同様の方法で調製した標品をcage,skeleton,scaffoldなど様々な名称で呼んでいる2-4)。これらは形態も蛋白質の組成もかなり相違しているが,本稿では"マトリックス"という言葉のもつ含意をそのまま適用して,すべて核マトリックスの一形態と考える。核マトリックスはアーチファクトであるとしてその存在すら疑われたこともあるが5),最近数年の間に出された報告は新たな方向から核マトリックスの実在を支持するものである。ここでは核マトリックスをDNAとの相互作用という観点から眺めた研究を紹介する。
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