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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻5号

1989年10月発行

文献概要

特集 核内蛋白質

核孔複合体

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第二講座

ページ範囲:P.548 - P.553

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 岩波の生物学辞典(第三版)では核孔(nuclear pore),核膜孔,細孔(pore),環,環紋(annulus)などの呼び名が挙げられている。また,Krstićの組織学辞典1)ではnuclear poreの見出しの次に(同義語として)nucleo-pore,pore complex,porus nuclearisが挙げられていて,これらは核孔または孔複合体を意味している。核孔は核膜に開いた孔であって,それ自体は空虚である。それに対して孔複合体は孔を形成している実体を意味している。したがって,両者は厳然と区別されるべきである。たとえば,"In the nuclear pores,only fibrillarmaterial is visible."2)という例ではnuclear poreが本来の意味で用いられている。しかし,"…an array ofspecialized structures termed nuclear pore"3)の「核孔と呼ばれる特殊な構造物」は核孔よりむしろ複合体を意味していると解釈される。逆に,"The nuclear porecomplex…serves as a pathway"4)という例では複合体が核孔の意味で用いられていると言っていいであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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