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連載講座 チャネル研究の新展開
機械受容性イオンチャネル
著者: 大森治紀1
所属機関: 1生理学研究所生体システム部門
ページ範囲:P.579 - P.585
文献購入ページに移動 イオンチャネルは,細胞内に埋め込まれた蛋白質でありイオンを通すチャネル部分と,イオンの流れを制御するゲート構造と,そして通過するイオン種を定めるフィルター構造とで構成されると考えられている。機械刺激によって開閉が制御されるイオンチャネルの場合は,膜電位あるいは化学物質の結合をセンスする代わりに,膜に加わる機械的な歪をセンスしてチャネルはゲートされる。すなわち,ゲートのセンサー機構の違いによって,イオンチャネルは様々な物理・化学量によってゲートされることになる。本稿では,ヒヨコの内耳有毛細胞に存在する機械刺激受容性イオンチャネルを解説する。機械刺激によってゲートされるイオンチャネルは,有毛細胞以外にも,筋の伸展受容器あるいは神経の感覚終末であるパッチニ小体上に古くから存在が予測されている。しかしながら,明らかにチャネル現象として捉えられたものは,有毛細胞以外では,骨格筋(Guharay & Sachs,1984),血管内皮細胞(Lansman,Hallam & Rink,1987),上皮細胞(Christensen,1987)などの動物細胞および酵母(Gustin,Zhou,Mortinac & Kung,1988)において知られている,いわゆる stretch activatedchannelである。こうしたチャネルは,Na,K,Caイオンなどを通し,30〜70pSの単位伝導度を示している。
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