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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻6号

1989年12月発行

文献概要

特集 ギャップ結合

ニューロン間のギャップ結合:電気的シナプス

著者: 浜清1

所属機関: 1早稲田大学人間科学部

ページ範囲:P.617 - P.624

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 I.電気的シナプス研究の歴史
 神経細胞間のシグナル伝達は多くの場合化学物質(伝達物質)の放出とその受容を介して行われるが,このような化学的シナプスの他に,膜電位の変化が直接隣接細胞に伝達されることがあり,このような伝達を電気緊張的伝達とよび伝達の起こる場所を電気シナプスとよぶ。ミミズの巨大神経の体節隔板(segmental septum)は活動電位を両方向に自由に通すことが古くから知られていた1)。隔板上に隣接体節の軸索膜が密接する(close apposition,CA)部位があることが電子顕微鏡によって明らかにされ,この部位が電気的なシグナル伝達の場であることが推察された2)。その後新しい生理学的な手段によって,ザリガニの巨大神経に電気的シナプスが存在することが確認されたが3),ここでも隣接する軸索膜にCA部位が見出された4)。一方,化学的シナプスであることが生理学的に確認されておりながら5),電気シナプスである前記のザリガニ巨大神経のシナプス3)と光学顕微鏡的には同じ構造をもつとされるヤリイカの巨大神経シナプス6)を電顕的に調べたところ,ここでは典型的な化学的シナプスの構造がみられた7)。このことによって,生理学的に確実な化学的シナプスと電気的シナプスの間には明確な微細構造上の差があり,電気的シナプスには神経細胞膜のCAがみられるとの考えがほぼ確立された7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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