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特集 ギャップ結合
文献概要
心臓の電気信号は洞房結節にはじまり心房筋房室結節プルキンエ線維をへて心室の作業筋に伝導する。心筋細胞は形質膜で囲まれているから,1個1個の細胞は独立している。では一つの細胞から他の細胞へ興奮伝導の起こる仕組みはどのようなものであるか。……という疑問は長く解決しなかったが,最近の形態学的ならびに生理学的研究からようやく結論が出ることとなった。独立した心筋細胞の中を興奮伝導が起こるのは,隣接する心筋細胞間に電気抵抗の低いギャップ結合があって,電流がこの部分を通り隣の細胞内へと流れることにより隣の細胞を脱分極させるという考えが支配的となった。
この概念は生理学的には,(1)心筋の長さ定数を測るとmmのオーダーであって,それは明らかに1個の細胞の長径(約100〜150μm)より長いこと(Weidmann,1970),(2)細胞膜を通過しない螢光色素を心筋の一部に注入すると色素は1mm〜2mmにわたって拡散し得ること(Imanaga.1974),(3)放射性Kの拡散の実験などから明らかであったが,心筋束の研究では膜電流の測定が十分成功せずさらに細胞内液を一定に保つことが難しかったが,細胞分離の手法が普及するにつれて顕微鏡下に隣接する2個の細胞を観察できるようになり(paired cells),さらに一層電気生理的な分析的研究が進んだので,以下これについてまず述べることとする。
この概念は生理学的には,(1)心筋の長さ定数を測るとmmのオーダーであって,それは明らかに1個の細胞の長径(約100〜150μm)より長いこと(Weidmann,1970),(2)細胞膜を通過しない螢光色素を心筋の一部に注入すると色素は1mm〜2mmにわたって拡散し得ること(Imanaga.1974),(3)放射性Kの拡散の実験などから明らかであったが,心筋束の研究では膜電流の測定が十分成功せずさらに細胞内液を一定に保つことが難しかったが,細胞分離の手法が普及するにつれて顕微鏡下に隣接する2個の細胞を観察できるようになり(paired cells),さらに一層電気生理的な分析的研究が進んだので,以下これについてまず述べることとする。
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