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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻1号

1990年02月発行

文献概要

特集 発がんのメカニズム/最近の知見

チロシンキナーゼ:シグナル伝達とがん

著者: 山本雅1

所属機関: 1東京大学医科学研究所制癌研究部

ページ範囲:P.16 - P.20

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 細胞は,外界からの様々な情報を的確に識別しながら増殖・分化し,機能している。外来情報としては,まずホルモン,神経伝達物質・増殖因子などがあげられる。増殖因子は,細胞の増殖を促進する一方で,ある場合には増殖を抑制することもある。また細胞の分化を促すような機能を有する因子も数多く知られている。さらに,細胞同士が互いを外来情報として認識することにより,それぞれの増殖を制御しあい,無秩序に増えることがないような仕組みも働いている。リンパ球や白血球では抗原を認識して抗体産生を行うようになったり,リンフォカインの産生を始めたり,細胞障害活性を示すようになったりする。多くの場合,外来情報は,細胞膜表面で捉えられ,様々なしくみで処理される。
 この10年程の間に,情報伝達過程が種々の系で詳しく解析され,相異なる種類の情報伝達系で,いくつかの共通の因子が機能していることが明らかになってきた。すなわち,チロシン残基特異的蛋白質リン酸化酵素(チロシンキナーゼ),フォスファチジルイノシトールリン酸化酵素(PIキナーゼ),G蛋白質,C-キナーゼ,Ca2+等等の関与である。とくに,外来情報の受容伝達反応の第一段階において,チロシンキナーゼが重要な働きをしていることが数多くのデータによって示されてきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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