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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻1号

1990年02月発行

文献概要

特集 発がんのメカニズム/最近の知見

ras遺伝子産物P21の機能調節とGAP(GTPase Activating Protein)

著者: 服部成介1

所属機関: 1東京大学教養学部基礎科学科

ページ範囲:P.26 - P.28

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 I.GAPによるras遺伝子産物p21のGTPアーゼ活性促進
 ras遺伝子産物P21はGTP結合性タンパク質であり,GTP加水分解活性によりシグナル伝達を制御すると考えられている。大腸菌で産生したp21をGDPまたはGTPの非加水分解性のアナログと複合体を形成させ細胞に微量注入した場合,GTP結合型のみが生物学的に活性であるからである1,2)(図1)。したがってp21の機能はP21発現量およびGTP結合型とGDP結合型の量比により調節される。ras遺伝子の活性化として多くのがん組織で示された12番目および61番目のアミノ酸置換はいずれもGTPアーゼ活性を低下させるものであり,その結果活性型であるGTP結合型の割合を増やし,p21の生物学的活性を増加させるものである3)。さらに1987年にTraheyとMcCormickはP21のGTPアーゼ活性を著しく促進する因子としてGAP(GTP ase Activating Protein)を報告した1)。彼らはP21・〔α-32P〕GTPをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入した際にGTP加水分解が試験管内よりはるかに速く起こることを見出し,さらにこの現象が卵母細胞抽出液の可溶性画分を用いても見られることを示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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