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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻1号

1990年02月発行

文献概要

特集 発がんのメカニズム/最近の知見

がん遺伝子の進化―発がん遺伝子と相同配列をもつ遺伝子

著者: 林田秀宜1 五條堀孝1

所属機関: 1国立遺伝学研究所進化遺伝研究部門

ページ範囲:P.51 - P.55

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 レトロウイルスのいろいろながん遺伝子の塩基配列が決定され始めた頃,sisというがん遺伝子が血漿板由来の成長因子PDGFの一部であることを最初に示唆したのは,R.Doolittleによる「相同性探索」というコンピュータを用いた遺伝情報解析であった。ご存知のように,「相同性探索」というのは,今までに決定されたDNA配列データを計算機にデータベースとして格納し,機能が未知の配列とデータベースにある既知の配列(アミノ酸配列でもよいし,塩基配列でもよい)と比較し,配列上の類似度が一定程度以上あるような配列を探索して,未知の配列の遺伝子機能を推測するものである。本稿では,がん遺伝子に注目して,この相同性探索による最新の研究成果を報告したい。
 がん遺伝子はトリや哺乳類のレトロウイルス,および宿主細胞そのものから多数の種類が分離され,それらがコードしていると考えられる蛋白質のアミノ酸配列の相同性や活性に基づいてsrc族やras族などのいくつかのグループに分類されている。しかも,次々と新しいがん遺伝子およびその関連遺伝子が今もなお決定されている。本稿では,「相同性探索」などのコンピュータ解析による成果が著しい,masがん遺伝子とそれと相同性のあるロドプシン超遺伝子族の機能と進化について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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