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連載講座 新しい観点からみた器官
大腸―分泌器官としての大腸上皮
著者: 鈴木裕一1 寺川進2
所属機関: 1山形大学医学部第2生理学教室 2生理学研究所機能協関部門
ページ範囲:P.63 - P.69
文献購入ページに移動大腸は動物による違いが著しい。これは,小腸が比較的動物差がないのと際だった対照をなす。この違いは主としてその動物の食性を反映しており,草食動物でとくに発達している。一般に大腸内には多数の腸内細菌が常在しており,小腸で消化されなかった多糖類(食物線維)を発酵し,主として酢酸,プロピオン酸,酪酸などの短鎖の脂肪酸に変えているが,食物の主要な部分が食物線維である草食動物では,この過程が著しく発達しており,大量に産生された脂肪酸を吸収して主要な栄養としている。ヒトでも,栄養としての寄与は小さいが,この発酵過程は盛んに起こっている2)。
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