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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻2号

1990年04月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

副腎髄質―神経細胞のモデルとしての副腎クロマフィン細胞

著者: 岡源郎1

所属機関: 1徳島大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.125 - P.133

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 副腎髄質細胞(副腎クロマフィン細胞)は,ノルアドレナリン(NA),アドレナリン(Ad)などのカテコールァミン(CA)を生合成し,貯蔵し,分泌するいわゆる分泌細胞として古くから親しまれてきたが,最近ではCA以外に多くの神経ペプチドを産生し,貯蔵し,分泌する細胞としても注目されている。神経系では,一つの神経細胞に一つの伝達物質という概念は今日ぬぐい去られ,一つの神経細胞からいくつかの生理活性物質が放出されている例が多くあげられている。副腎髄質という内分泌器官もCAだけでなくいくつかの生理活性物質を同時に分泌している。したがって,一つの内分泌細胞が一つのホルモンを分泌するという概念もすでに過去のものになりつつある。
 さて,副腎髄質は内分泌器官ではあるが交感神経系に属し,特殊に分化した交感神経節に相当する。交感神経系では,節前ニューロンの終末からアセチールコリン(ACh)が放出され,節後ニューロンの終末からはCAが放出されて,情報を伝達している。副腎クロマフィン細胞は,節後ニューロンのように長い突起を伸ばしてはいないが,節前ニューロン(内臓神経終末)から放出されたAChに応答しCAを分泌している(図1)。したがって副腎クロマフィン細胞は,しばしば神経細胞のモデルとみなされ,得られた知見は神経細胞での伝達機構の解明にも多くの示唆を与えてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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