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フィブリノーゲンの受容体認識領域と血小板凝集
著者: 高野静子1
所属機関: 1福島県立医科大学薬理学教室
ページ範囲:P.153 - P.158
文献購入ページに移動 血漿や血小板にはフィブリノーゲン(Fibrinogen,Fib),フォンウィルブランドファクター(von WillebrandFactor,vWF)やフィブロネクチン(Fibronectin,Fn)などの粘着性蛋白質が多量に含まれている。それらの蛋白質は血小板,白血球,単球,リンパ球や内皮細胞などと反応して,細胞と細胞または細胞と他の組織表面とを粘着させる生体糊として機能している1,2)。とくにFibは血漿中に2~4mg/ml含まれており,血小板凝集のコファクターである。FibはvWFやFnと協力して血小板を凝集させたり,内皮下組織に粘着,拡張させて,血栓を形成する。Fibは静止状態の血小板には作用しない。血小板はCa2+の存在下にADPやトロンビンなどの刺激を受けて受容体を形成するが,その時だけFibは血小板に結合する1)。Fib分子がどのようにして血小板の受容体により認識されるかという問題は,血小板凝集を中心とした止血血栓や病理血栓の形成機序の解明のために大変重要である。この稿では血小板受容体によるFib分子の認識機構について若干概説する。
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