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特集 シナプスの形成と動態
培養ニューロン間でのシナプス形成と可塑性
著者: 平野丈夫1
所属機関: 1群馬大学医学部第Ⅱ生理学教室
ページ範囲:P.164 - P.170
文献購入ページに移動 神経細胞(ニューロン)の培養系は,各細胞を生きた状態で詳細に観察でき,また細胞への微操作や細胞内外の溶液の制御などが容易で,ニューロン間のシナプス形成・伝達およびその調節機構などを細胞・分子レベルで解析するのに適した系である。ところでニューロンの性質は個々のニューロンで大きく異なるため,研究の対象となっている細胞がいったいどのニューロンであるのか同定することはきわめて重要である。しかしながら多くの場合,培養下でのニューロンの同定は困難である。近年まで培養下において同定ニューロン間でシナプス形成をさせた報告としてはヒルやアメフラシといった無脊椎動物を用いたもののみであった1,2)。哺乳類においては同定可能なニューロンとして,脊髄後根のニューロン3)・交感神経節ニューロン4)といった中枢神経系外の神経節のニューロン,運動ニューロン5),大脳皮質の錐体細胞の一部6),小脳のプルキンエ細胞7-9),顆粒細胞10,11)などがあるが,同定ニューロン間におけるシナプス形成についてはほとんど報告がない。本稿では筆者らの研究対象であり,シナプス前・後両ニューロンが同定できる小脳の培養系に焦点をしぼり,プルキンエ細胞へ性質の大きく異なる興奮性シナプスを形成する顆粒細胞と下オリーブ核ニューロンが,培養下においてはどのようなシナプス形成をするかを述べ,さらに培養下で再現された顆粒細胞・プルキンエ細胞間のシナプス伝達の可塑性についても記述する。
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