icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻3号

1990年06月発行

文献概要

解説

細胞周期の制御:M期開始の分子機構

著者: 山下茂1

所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.225 - P.232

文献購入ページに移動
 増殖しつつある細胞はDNAの複製と細胞分裂とを交互に行っている。この周期を細胞周期と呼び,DNAの複製の準備期にあたるG1期,DNAの複製を行うS期,細胞分裂の準備期であるG2期,細胞分裂期であるM期が区別される。このうちM期においては,染色体凝縮,核膜消失,分裂装置の形成,染色体の分配などの大きな形態学的変化が観察されるため,古くから生物学者の興味を惹き,M期の開始についての制御機構に関心がもたれた。
 M期開始機構の研究はM期開始因子の研究を中心に発展したが,これには大別して二つの研究の流れがあった。一つは1970年頃から始まったM期開始因子の生化学的研究であり哺乳類培養細胞およびカエル,ヒトデなど両棲類や海産動物の卵成熟,卵割の系が主として用いられた。もう一つの流れが,1970年代半ばに始まったM期開始因子の遺伝学的研究であり,これは主として酵母を用いて行われたが,やがて哺乳類培養細胞にも研究対象が広げられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら