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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻3号

1990年06月発行

話題

リンパ球の神経支配

著者: 齋藤紘昭1

所属機関: 1順天堂大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.238 - P.240

文献概要

 細胞を固定細胞群と自由細胞群に二分すると,脱核赤血球と有核白血球は典型的に後者に属する。これらの血球は細胞間質の血漿中に浮遊し,脈管という大枠内で流動的に目的領域に到達する。
 不動の固定細胞群に対する神経調整機構の存在は現在では広くうけいれられている。たとえば骨格筋や平滑筋にはそれぞれ脊髄神経や自律神経が分布する。それに対して自由細胞に対する神経系要素の影響は,もしあるとすれば体液を介した間接的なものによるものであろうとされ,固定細胞群で観察される直接的な細胞―神経終末の関係はまだ確立されていない。しかし,有核白血球,とくにリンパ球の細胞表面にアドレナリン受容体の存在が明らかになるにつれて(Coffey and Hadden, 1985;Fuchs, et al.,1988),体液性による稀薄なアドレナリンを受けるよりは,より直接的な受容様式機構の存在が期待され始めた。血球は脈管内を早いスピードで移動するので,通常の内皮を有する脈管では直接受容の形態学的機構は成立しなく,成立するとすれば流速速度が低下する“場”以外にないと推定される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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