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雑誌目次

雑誌文献

生体の科学41巻4号

1990年08月発行

雑誌目次

特集 New proteins

ページ範囲:P.252 - P.252

 「生体の科学」の本年の増大特集号は「New Proteins」をテーマとした。
 最近,医学・生物学の分野で新しいタンパク質が次々と見出され,命名され,その性質が明らかにされている。生体の構成や機能に重要なタンパク質として関連の研究者の間では注目され,大きな話題になっていながら,研究分野が異なると身近でなく,その理解は必ずしも容易ではない.ましてや,新人や学生にとって,初めて目にし,耳にした新しいタンパク質については,調べるすべもないことがしばしばあると考えられる。
 このような現状を考え,新しいタンパク質の解説書を作ることとした。取り上げたタンパク質は比較的最近発見され,その実体が捉えられた重要なタンパク質,および以前より知られているタソバク質でも,性質,機能,アイソフォームなどで新しく重要な知見が加わったものなどである。ただし,他の企画・成書ですでに取り扱われている成長因子,ペプタイドホルモン,チャネル・受容体タンパク質は除いた。また,cDNAのデータのみのタンパク質も除外した。各タンパク質について,同義名,分子量,発見・命名の歴史,性質や機能,組織・細胞内局在・分布に留意して解説されている。

細胞外基質タンパク質 コラーゲン

collagen

著者: 澤田元 ,   許斐博史

ページ範囲:P.254 - P.260

 コラーゲンは細胞外マトリックスの主な成分で,皮膚や腱の67nm周期の特徴的な縞模様を示す線維として古くからよく知られている。最近,コラーゲンには遺伝子の異なる数多くの型(タイプ)が存在することが次々に判明してきた。コラーゲンの型はほぼ発見順に数字を付けて分類されている。
 まずコラーゲンの共通の特徴であるが,一分子は3本のポリペプチドからなる三重ラセンの構造が分子のかなりの部分を占めている。この三重ラセン部の基本の構造はGly-X-Yが繰り返すアミノ酸配列によってできている。したがってグリシンが全アミノ酸の約3分の1を占める。X部にはプロリンが多く,Yにはヒドロキシプロリンが多い。3本のポリペプチドの一つ一つはα鎖と呼ばれ,一分子は一種類のα鎖からなることも,別々の遺伝子によりコードされる複数種のα鎖からなることもある。このα鎖はα1,α2,α3というように後ろに数字を付けて呼ばれ,さらにコラーゲンの型の番号をつけて,たとえばⅠ型コラーゲンではα1(Ⅰ),α2(Ⅰ)というように呼ばれる。多くのⅠ型コラーゲンはα1(Ⅰ)鎖2本とα2(Ⅰ)鎖1本からなるので鎖の構成は「α1(Ⅰ)]2α2(Ⅰ)というように記載される。コラーゲンを構成するアミノ酸には他のタンパク質ではほとんどみられないヒドロキシプロリン,ヒドロキシリジンがある。

フィブロネクチンおよび類似タンパク質

fibronectin, vitronectin, tenascin, thrombospondin, entactin, osteopontin

著者: 関口清俊 ,   前田利長

ページ範囲:P.261 - P.264

fibronectin(フィブロネクチン)
■同義名
 cold-insoluble globulin(CIg);LETS protein;galactoprotein a;opsonic α2 surface-binding glycoprotein。

ムコ多糖結合タンパク質

hyaluronectin, heparan sulfate proteoglycan

著者: 三井洋司

ページ範囲:P.265 - P.266

hyaluronectin(ヒアルロネクチン)
 ■同義名
Brain-specific hyaluronectin(BHN)。

ラミニン

laminin, laminin-M, s-laminin

著者: 林利彦

ページ範囲:P.267 - P.268

laminin(ラミニン)
 ■同義名 なし。
 ■分子量
 A鎖400K,B1鎖220K,B2鎖220K;3本のポリペプチド鎖が会合した分子の分子量は超遠心分析より900Kである。

膜関連タンパク質 細胞接着因子

integrins

著者: 高田義一

ページ範囲:P.270 - P.272

 インテグリン(integrins)は,細胞外マトリクス―細胞間,または細胞間の相互作用に関与する細胞接着受容体である。細胞の遊走,分化,創傷治癒,発生などに重要な役割を果たす。膜透過タンパク質のヘテロダイマーで,外側の細胞外マトリクスやリガンド(他の細胞表面にある)と,細胞内の細胞骨格系をつなぐ働きをする。ヒトではもともと,1)6種のVLA/β1サブファミリー=ほとんどの細胞表面に発現される,2)白血球接着分子/β2サブファミリー(LFA-1,Mac-1,p150,95)=白血球に限局している,および,3)サイトアドヘシン/β3サブファミリー(ビトロネクチン受容体,血小板gpⅡb/Ⅲa)の三つのサブファミリーからなると考えられていた。各ヘテロダイマーはそれぞれ異なるα鎖(11種ある)と,サブファミリーに共通のβ鎖(それぞれβ1,β2,β3鎖をさす)からなる。各α鎖はそれぞれのβ鎖に特異的に結合してヘテロダイマーを形成すると考えられた。しかし,1)各α鎖がβ鎖とは独立して進化していること,2)新しいβ鎖(β4鎖,β5鎖,β6鎖,βp鎖)が発見されたこと,3)αvβ1,αvβ3,αvβ5またはα6β1,α6β4のように一つのα鎖が異なるβ鎖とヘテロダイマーを作りうることなどがわかったので,上記のインテグリカン分類は急速に崩壊した。

E-cadherin, N-cadherin, P-cadherin

著者: 永渕昭良

ページ範囲:P.273 - P.274

E-cadherin(E型カドヘリン)
 ■同義名
uvomorulin,L-CAM,Cell-CAM 120/80,Arc-1。

N-CAM,Ng-CAM

著者: 永渕昭良

ページ範囲:P.275 - P.275

N-CAM
 ■同義名 NCAM,D2-CAM。
 ■分子量
 SDS-PAGEでの分子量は動物種間,組織間で微妙に異なるが,糖鎖が付いていない場合は主に180K,140K,120Kの3種のものが存在する。糖鎖が付いている場合,見掛け上150Kから200Kの分子量を持つ。

ギャップ結合タンパク質

connexin(Cx),MP 70

著者: 太田英彦

ページ範囲:P.276 - P.276

 connexin(Cx)(コネクシン),MP 70
■同義名
 27K(29K)タンパク質など。この2~3年,Cx 32(分子量32Kのコネクシン)などと記載されてきたが,相同的なコネクシンが異種動物で違った分子量を持つので,α1(Cx 43),β1(Cx 32),β2(Cx 26)という表記が提案されている。硝子体のギャップ結合タンパク質はMP 70(MP 18もそうだという報告がある)と呼ばれる。growth-associated protein,GTPase-activating Protein,galactoproteinなどはGAP,Gapと略記されるが,ギャップ結合とは無関係である。

タイト結合タンパク質

ZO-1,cingulin,BG 9.1タンパク質など

著者: 太田英彦

ページ範囲:P.277 - P.277

 ZO-1,cingulin(シングリン),BG 9.1タンパク質など
■同義名
とくになし。ZOはzonula occludensに由来。

デスモソームタンパク質

desmoyokin, desmoplakins, desmocalmin, desmoglein, desmocollins, plakoglobin, band 6 protein

著者: 尾張部克志

ページ範囲:P.278 - P.280

 デスモソームを形成しているタンパク質はウシ鼻表皮細胞から高純度のデスモソーム画分の単離法が確立されたことにより解析が可能となった。しかしデスモソームはその単離が難溶性を利用して行われたように,生理的塩溶液に不溶のため解析手段は限定されている。多くの場合,二次元電気泳動法やSDS-PAGEで分離した成分に対する特異抗体を用いた免疫組織化学法などでなされている。デスモソームタンパク質の名称は統一されておらず,大別して二通りの命名法が用いられている。一方は各成分について独自の名称をつけるやり方,他方は単純タンパク質をすべてデスモプラーキン,糖タンパク質をデスモグレインと呼び,分子量の順にⅠ,Ⅱ,Ⅲ,と名付けるやり方である。ここでは各成分の名称を前者に統一し,同義名として後者を挙げてある。

有殻小胞タンパク質

clathrin,adaptinなど

著者: 太田英彦

ページ範囲:P.281 - P.281

 clathrin(クラスリン),adaptin(アダプチン)など
■同義名
 アダプチンと一群のタンパク質はアダプター複合体〔HA-Ⅰ(AP-1),HA-Ⅱ(AP-2)〕を形成するが,coator clathrin associated proteins,assembly proteins,accessory proteinsなどと呼ばれてきた。HAはヒドロキシルアパタイトカラム画分を意味。

小胞体・ゴルジ装置関連タンパク質

BiP,SRP関連タンパク質,NSF関連タンパク質

著者: 吉森保

ページ範囲:P.282 - P.288

BiP(ビップ)
 ■同義名 GRP 78。
 ■分子量 78K。

G210,58K

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.289 - P.289

 G210
■分子量 210K(SDS-免疫プロット)1)
■歴史
 本来クロモグラニンA(同項参照)を抗原として作製されたモノクローン抗体によって検出された1)

リンパ球細胞接着因子

lymphocyte function-associated antigen-1,cluster of differentiation 2

著者: 山下昭

ページ範囲:P.290 - P.291

LFA-1(lymphocyte function-associatedantigen-1)
 ■同義名
Ly-15,CD 11a/CD 18。

薬物耐性付与タンパク質

P-glycoprotein/Mdr

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.292 - P.293

P-glycoprotein(Pgp)
 ■同義名
Mdr(mdr発現産物),P-170。

細胞骨格・筋関連タンパク質 アクチン結合タンパク質

brush border myosin I, fimbrin

著者:

ページ範囲:P.296 - P.297

brush border (BB) myosin I
 ■Synonym 110kD protein.
 ■Molecular weight
 110,000 heavy chain,17,000 light chain (SDS).

myosin Ⅰあるいはmini-myosin

著者: 小浜一弘

ページ範囲:P.298 - P.298

 myosin Ⅰ(ミオシンI)あるいはmini-myosin(ミニ・ミオシン)
■分子量・歴史
 一般にミオシンと言えば骨格筋ミオシンに代表されるように,双頭・短尾の形態をとり,生理的イオン強度で尾部が集合しフィラメントを形成する性質を示すものを意味し,分子量は500K台のものである。この分子はその起源により多少の差異はあれ,200K台の重鎖と20K~10K台の2種の軽鎖,それぞれ二つずつ合計6つのポリペプチドより成り立っている。現在では,このミオシンはミオシンⅡまたは通常ミオシン(conventionalmyosin)と呼ばれ,本稿でのミオシンⅠまたはミニ・ミオシン(mini-myosin)と呼ばれるものとは性質を異にするものである。このミオシンⅠは単頭・短尾で集合性を示さないのが特色である。
 ミオシンⅠの最初の発見は下等有機生物・アカントアメーバーにさかのぼることができる1,2)。これにはミオシンⅠA(140Kの重鎖と17Kの軽鎖が一つずつで1分子を形成)とミオシンⅠB(125Kの重鎖と18Kの軽鎖が一つずつで1分子を形成する)がある。もちろん,ミオシンⅡも存在するが細胞内局在が異なる3)。ミオシンⅠに対し,これはミオシンⅡの分解産物(S1の様なもの)ではないかという疑問が出されていた。

depactin, actolinkin, 45K protein, fascin, 100K protein, 250K protein, ponticulin,

著者: 馬渕一誠

ページ範囲:P.299 - P.301

depactin(デパクチン)
■同義名 なし。
■分子量
SDS,17K;Native,20K;Alnino acid scquencc,17,590。

ABP-36, ABP-120

著者: 荻原哲

ページ範囲:P.302 - P.303

ABP-36(36,000ダルトン・アクチン結合性タンパク質)
 ■同義名 なし。
 ■分子量
 SDS:36K。
 Native:68K(ゲル濾過によりウシ血清アルブミンと一致する)。

actinogelin

著者: 浅野朗 ,   三村直稔

ページ範囲:P.304 - P.304

 actinogelin(アクチノゲリン)非筋肉α-アクチニンに属する。
 ■分子量
1OOK(SDS-PAGE),native分子は2量体。

cofilin, destrin

著者: 西田栄介

ページ範囲:P.305 - P.306

cofilin(コフィリン)
 ■同義名 とくになし。
 ■分子量
 166アミノ酸残基からなり,計算上の分子量は18,518。ほぼ球状のモノマーとして存在し,SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動での見掛けの分子量は約21K。

アクチン線維切断タンパク質(actin filament-severing proteins),ゲルゾリンファミリー(gelsolin family)

著者: 野々村禎昭 ,   桜井隆

ページ範囲:P.307 - P.307

 粘菌から哺乳類にいたるまで多くの真核生物にカルシウム依存性のアクチン線維切断タンパク質が発見されている。これらのタンパク質に共通な性質はアクチン線維の切断,反矢じり端のキャッピング,アクチン重合の核形成促進作用である。G-アクチン(アクチンモノマー)結合部位とF-アクチン(アクチンポリマー)の側面への結合部位の最低二つのアクチン結合部位をもち,これらが協同的に作用することによりアクチン線維のモノマー-モノマー間の結合を弱め切断を行うと考えられている。切断後は生じたアクチン線維断片の反矢じり端(barbedend,fast-growing end,+end)をキャッピングし断片が再結合することを防ぐ。アクチンの重合時にはG-アクチンとの結合の結果生じたアクチンオリゴマーと切断タンパク質の複合体が重合の核となり,重合の初期過程を促進するが,結果的には短いフィラメントを多数生じさせる。一次構造が解析されたgelsolin,villin,fragmin,severinの比較により,これらのタンパク質は共通の祖先から進化して生じたと考えられるアクチン切断タンパク質のファミリーを形成していることが明らかとなった。これらのタンパク質はアミノ酸配列が比較的保存された14~17kDaのsegmentの繰り返しからなっている。

villin

著者:

ページ範囲:P.308 - P.308

 villin(ビリン)
■Molecular weight
SDS, 95,000, nativc(95,200+Ca2+,96,300-Ca2+).

brevin, gelsolin, adseverin

著者: 桜井隆

ページ範囲:P.309 - P.310

brevin(ブレビン)
 ■同義名
plasma gelsolin, secretory type of gelsolin, ADF。

fragmin, severin

著者: 秦野節司

ページ範囲:P.311 - P.311

fragmin(フラグミン)
 ■分子量 42K(SDS,ゲル濾過とも)。
 
歴史
 真性粘菌(Physarum)の変形体に,筋肉のβ-アクチン様タンパク質が存在することが分かっていたが1),1980年に長谷川らはその分画から,フラグミンを単離,精製した2)

profilin

著者: 秦野節司

ページ範囲:P.312 - P.312

profilin(プロフィリン)
 ■分子量 12~15K(SDS,ゲル濾過とも)。
 ■歴史
 非筋細胞では全アクチンの50~60%が,非重合アクチンとして存在している。1977年Carlssonら1)は仔ウシの脾臓からG-アクチンと結合し,その重合能をなくすタンパク質を精製しプロフィリンと名付けた。プロフィリンは最初に精製されたアクチン重合調節タンパク質である。

微小管関連タンパク質

MAPs

著者: 新井孝夫 ,   藤井敏弘

ページ範囲:P.313 - P.315

 MAPsとは,試験管内で重合・脱重合を繰り返す方法により調製した微小管に特異的に結合しているタンパク質(microtubule-associated-proteins)の総称である。研究がもっとも進んでいる哺乳類の神経系では,表に示した成分の存在が知られている。

輸送モータータンパク質:kinesin,MAP1C,dynamin

著者: 室伏擴

ページ範囲:P.316 - P.318

kinesin(キネシン)
 ■同義名 なし。
 ■分子量
 380K。120Kの重鎖および64Kの軽鎖おのおの2本ずつからなる(ウシ脳キネシン)。

繊毛・鞭毛関連タンパク質:dynein,nexin,tektinなど

著者: 毛利秀雄

ページ範囲:P.319 - P.320

dynein(ダイニン)
 ■歴史
 ダイニンは繊毛や鞭毛の主要なATPaseとして最初に単離・精製されたが,現在ではこの種のダイニンをaxonemal dynein(軸糸ダイニン)と呼び,それ以外の場所,たとえば卵の分裂装置や神経軸索などに存在するダイニンをcytoplasmic dynein(細胞質ダイニン)と呼んでいる。繊毛や鞭毛のATPaseがミオシンとは異なることは,すでに1950年代に知られていた。1963年にGibbonsは,テトラヒメナの繊毛よりこのATPaseを抽出することにはじめて成功し,これにダイニン(dyne=力,-inはタンパク質)の名前を与えた(1965)。したがってその歴史は,同じ繊毛や鞭毛の微小管の構成タンパク質として最初に同定,命名されたチューブリン(毛利,1968)よりも古い。

分裂装置・中心体・MTOC関連タンパク質:62 kD protein, 205 kD protein, MTOC phosphoprotein, 51 kDa protein, centrin, nuc2+gene product, SPA 1

著者: 太田邦史 ,   細田志津子 ,   酒井彦一

ページ範囲:P.321 - P.324

62kD protein(62kDタンパク質)
■同義名 なし。
■分子量 62K(SDS-PAGE)。

buttonin

著者: 廣川信隆

ページ範囲:P.325 - P.325

buttonin(ボタニン)
 ■同義名 75KD MAP。
 ■分子量 75K。

中間径フィラメントおよび関連タンパク質

vimentin, desmin, glial fibrillary acidic protein, neurofilament protein, keratin, synemin, paranemin, filaggrin, plectin

著者: 安藤祥司 ,   稲垣昌樹

ページ範囲:P.326 - P.332

 中間径フィラメントは,多くの真核細胞に存在し,微小管,アクチンフィラメントと共に,細胞質内に細胞骨格と呼ばれるタンパク質線維のネットワークを形成している。中間径フィラメントの名称は,フィラメントの直径(10nm)が,微小管の直径(25nm)とアクチンフィラメントの直径(6nm)の中間であることに由来する。また,10nm(あるいは100A)フィラメントとも呼ばれる。その存在は,1968年,石川らによって培養筋細胞の電子顕微鏡観察によって最初に報告された。その後,中間径フィラメントの研究は,1970年代後半から,生化学そして分子生物学的手法の発展に伴って加速度的に進展し,ユニークな中間径フィラメント像が明らかになりつつある。
 中間径フィラメントは細胞骨格成分の中でもっとも安定な構造体の一つであり,不溶性が高い。微小管,アクチンフィラメントが,それぞれの可溶型構成タンパク質(チュブリン,アクチン)との間での重合・脱重合の平衡状態でフィラメント構築を維持しているのに対して,一度形成された中間径フィラメントからのフィラメントタンパク質への解離は,何らかの制御因子なしでは考えられない程,中間径フィラメントは安定である。この中間径フィラメントの極端な安定性と不溶性は“細胞骨格”という名前の創設に深く結びついている。

膜裏打ちタンパク質

細胞膜裏打ちタンパク質:spectrin, TW260/240, ankyrin, protein 4.1

著者: 石川春律

ページ範囲:P.333 - P.335

spectrin(スペクトリン)
 赤血球膜の裏打ち構造の主要タンパク質。異なる2種の細長い鎖状のサブユニットが紐状のヘテロ2量体をつくり,これがその端で互いに結合して長さ約200nmの4量体をなす。類似のタンパク質が他のいろいろな細胞に見出され,これらを合わせてスペクトリン・ファミリーと総称される。この中で赤血球スペクトリンとして他の非赤血球スペクトリンから区別することもある。

細胞接着関連タンパク質:vincuiin, talin, tenuin, radixin

著者: 月田早智子

ページ範囲:P.336 - P.337

vinculin(ビンキュリン)
 ■同義名 なし。
 ■分子量 SDS-PAGE,Nativeとも130K。

筋関連タンパク質

dystrophin

著者: 石浦章一

ページ範囲:P.338 - P.338

 dystrophin(ジストロフィン)
■歴史・分子量
 ジストロフィンは,X染色体劣性遺伝を呈するDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)で欠損している筋タンパク質として,1987年KunkelらによりcDNAから同定された分子量42.7Kの巨大タンパク質である。その後,筋肉から抽出され,その存在が確認された。

α-actinin

著者: 今村道博 ,   眞崎知生

ページ範囲:P.339 - P.339

α-actinin(α-アクチニン)
 ■分子量
 α-actininは2本の相同なサブユニットから形成されている二量体分子である。このためα-actininの分子量はSDS存在下の変性条件においては100K,また未変性条件下においては200Kを示す。

connectin, nebulin

著者: 丸山工作

ページ範囲:P.340 - P.341

connectin(コネクチン)
 ■同義名 titin(タイチン)。
 ■分子量
~3×106(SDSゲル電気泳動法)。

caldesmon

著者: 祖父江憲治

ページ範囲:P.342 - P.343

 caldesmon(カルデスモン)
■分子量
 高分子型カルデスモン(h-カルデスモン,SDSゲル電気泳動上の分子量は120~150K)と低分子型カルデスモン(l-カルデスモン,70~80K)が存在する。しかし,一次構造から計算される分子量は,h-カルデスモンが89K,l-カルデスモンは59Kである。

filamin

著者: 野々村禎昭

ページ範囲:P.344 - P.344

filamin(フィラミン)
 ■同義名
 ABP(actin binding protein:アクチンバインディングプロテイン)。

calponin

著者: 高橋克仁

ページ範囲:P.345 - P.346

calponin(カルポニン)
 ■同義名 なし。
 ■分子量
 SDS電気泳動上では分子量33~37K。ヒトおよびウシの血小板では分子量37Kと~23Kの2種類の免疫反応性ホリペプチドが存在する。筆者はニワトリ砂嚢平滑筋の主要な2種類のアイソフォームのcDNAをクローニングし,292個のアミノ酸(開始メチオニンを含む)からなり分子量32333,より酸性の等電点をもつものをカルボニンα,252個のアミノ酸からなり,分子量28127,より塩基性のボリペプチドをカルポニンβと命名した(図1)。

神経関連タンパク質

calcineurin, Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase Ⅱ

著者: 宮本英七

ページ範囲:P.359 - P.360

calcineurin(カルシニューリン)
 ■分子量・歴史
 カルシニューリン(calcineurin)(ここでの略語,CaN)の命名が定着している。SDS-PAGE上,触媒部位,カルモデュリン結合部位を有するCaN A(61K)とCa2+結合部位を有するCaN B(19K)の二つのサブユニットに分離されるヘテロ2量体である。CaN AとBは1:1で構成されており,CaNそのものの分子量は80Kである。cDNAクローニングが行われ,アミノ酸配列の全構造が明らかにされた。CaNは最初,カルモデュリン(CaM)活性化ホスホジェステラーゼの阻害タンパク質として見出された。脳における主たるCaM結合タンパク質である。カルシニューリンという命名はC. B. Kleeらによってなされ,Ca2+結合性を持っていること,神経組織に主として存在していることを示している。発見当初はモデュレータ結合タンパク質,環状ヌクレオチドホスホジェステラーゼ阻害タンパク質,脳アデニル酸シクラーゼとホスホジェステラーゼ阻害タンパク質,CaM結合タンパク質80などとも呼ばれていた。

シナプス関連タンパク質

synapsin Ⅰ

著者: 廣川信隆

ページ範囲:P.348 - P.348

synapsin Ⅰ(シナプシン)
 ■同義名 プロテインⅠ。
 ■分子量
 86K(Ia),80K(Ib)の2種類の分子からなる。

synaptophysin

著者: 門田朋子

ページ範囲:P.349 - P.350

synaptophysin(シナプトファイシン)1)
 ■同義名
 protein p 382)(ときにp36,SVP38)。

軸索膜タンパク質

axolinin, fodrin, axonin

著者: 新井孝夫 ,   松本元

ページ範囲:P.351 - P.352

axolinin(アクソライニン)
 ■同義名
 squid 260K protein(ヤリイカ260Kタンパク質)。

ミエリン膜関連タンパク質

myelin basic proteins, PLP, MAG, Po protein

著者: 佐藤修三

ページ範囲:P.353 - P.355

myelin basic proteins(ミエリン塩基性タンパク質)
 ■同義名
 末梢神経系(PNS)ミエリンの18.5Kの塩基性タンパクはP1と呼ばれているが,中枢神経系(CNS)のそれと同一物質。

アルツハイマー関連タンパク質

β-protein

著者: 吉川和明

ページ範囲:P.356 - P.357

β-protein(ベータタンパク)
 ■同義名
 A4 protein,β/A4 protein,Alzheimer's disease amyloid protein。

成長関連タンパク質

GAP-43

著者: 勝丸博信 ,   村上富士夫

ページ範囲:P.358 - P.358

GAP-43(growth-associated protein-43)
 ■同義名 B-50,F1,pp 46,p 571)
 ■分子量
 SDS電気泳動法による分子量は発見当初の研究から43Kとされたが,ゲル濃度によって43~60Kの幅で見掛けの分子量が変化する性質がある1,2)。cDNAの塩基配列から計算される分子昂書は約24Kである3)

カルシウム結合タンパク質 細胞質タンパク質

calbindin

著者: 高木尚

ページ範囲:P.362 - P.362

calbindin(カルビンディン)
 ■同義名
 小腸カルシウム結合タンパク質(ICaBP),28kDaビタミンD依存性カルシウム結合タンパク質。

骨関連タンパク質

BGP, MGP

著者: 濱本洋子

ページ範囲:P.363 - P.363

BGP〔bone gammacarboxyglutamic acid(Gla) protein〕1)
 ■同義名
オステオカルシン。

osteonectin, osteopontin

著者: 佐々木哲

ページ範囲:P.364 - P.365

osteonectin(オステオネクチン)
■同義名
 SPARC(Secreted Protein which is Acidic andRich in Cysteines),BM-40,43K culture shock protein。

膜関連タンパク質

calsequestrin, sarcopiasmic reticulum Ca-ATPase

著者: 丸山敬

ページ範囲:P.366 - P.367

calsequestrin(カルセクエストリン)
 ■分子量
 SDS電気泳動:Weber-Osborn法;41~44K,Laemmli法;50K。アミノ酸配列:約42K(このうち約1Kは糖鎖による)。

annexin(lipocortin)

著者: 小林良二

ページ範囲:P.368 - P.368

annexin(lipocortin)「アネキシン(リポコルチン)〕
 ■同義名
 数多くの同義名があるがアネキシンに統一されつつある。少なくとも7~8種のタンパクの総称名で,各々分子量,等電点,一次構造も異なる。構造上の共通性は,17残基からなる共通配列を含むサブドメイン(70~80残基)が4回または8回繰り返すことである。

lipocortin I, calpactin I, endonexinまたはendonexin I, endonexin Ⅱ, 67 kDa calelectrin, synexin, synhibin, calcimedin, matrix vesicle acidic phospholipid-dependent Ca-binding protein, CAB-63, anchorin CⅡ

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.369 - P.373

lipocortin Ⅰ(リポコルチンI)
 ■同義名
 calpactin Ⅱ,chromobindin 6,chromobindin 9(chromobindin 6の前駆体?),p 35,35 kDa-calcimedin,lipomodulin,renocortin,macrocortin。

酵素 プロテアーゼ

proteasome

著者: 田中啓二

ページ範囲:P.376 - P.376

proteasome(プロテアソーム)
 ■同義名
 本酵素は種々の名称が提案されている。代表的なものに高分子量プロテアーゼ,多機能プロテアーゼ,20Sプロテアーゼなどがあるが,他の名称については総説1)を参照。

calpain, calpastatin

著者: 安達喜文

ページ範囲:P.377 - P.379

calpain(カルパイン)
 ■同義名
 カルシウム依存性プロテアーゼ,CANP(calcium-activated neutral protease)と略称されることもある。

medullasin

著者: 青木洋祐

ページ範囲:P.380 - P.380

 medullasin(メダラシン)
 medullasin(メダラシン)はヒト骨髄細胞に見出されたセリンプロテアーゼである。
 ■分子量・構造
 分子量31,800,ILeをN末端とする238個のアミノ酸残基よりなり,3個の糖鎖結合可能部位を有する。ML-3細胞を用いてcDNAがクローニングされ,またヒト扁桃よりその遺伝子が単離され,5個のエクソンと4個のイントロンよりなることがわかった。

コラゲナーゼ関連タンパク質(コラゲナーゼ遺伝子ファミリー):collagenase, gelatinase, stromelysin(transin),stromelysin--2, pump-1, acrosin

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.381 - P.383

 結合組織には3種のコラーゲン関連タンパクがある。一つはいわゆるコラゲナーゼで,interstitial collagenを分解する(interstitial collagenase,別名MMP-1)。もう一つはしばしばgelatinascと呼ばれた酵素で,ゼラチンを容易に分解するが,タイプⅣ・Ⅴコラーゲン,エラスチン,カゼインをも分解する(gelatinase,別名MMP-2)。他はstromelysin/transin(別名MMP-3またproteoglycanase)と呼ばれ,プロテオグリカン,フィブロネクチン,ゼラチン,タイプⅣコラーゲン,ラミニンを分解する。これらはいずれもメタロプロテイナーゼである。これら三者がともに働くことによって細胞間礎質のおもなタンパク質のすべてが分解される。

リボヌクレアーゼ関連タンパク質

eosinophil-derived neurotoxin(EDN),eosinophil cationic protein(ECP),angiogenin

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.384 - P.386

 Sierakowskaら(1977)によってRNaseは分泌性(RNase C,RNase UL,band A)と非分泌性(RNaseU,RNase Us,band D)に分けられた1)。分泌性と非分泌性RNaseのアミノ酸配列は30%が一致2)。一致するアミノ酸にはRNase活性部位のもの(His-12,His-119,Lys-41)が含まれる。非分泌型で代表的なものはヒト好酸球顆粒に含まれる3種の塩基性タンパクのうちの2種,EDNとECPである。進化の過程で祖型遺伝子の倍化が起こり,一つは非分泌型に進化し,他はさらにもう一度の倍化をへた後,一方は分泌型(哺乳類)に進化し,もう一つはangiogeninに進化したものと思われる(図)2)

ユビキチン関連酵素

ユビキチン-タンパク質共役体形成系酵素:ubiquitin-activating enzyme, ubiquitin carrier protein, ubiquitin protein ligase ユビキチン遊離系酵素:ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.387 - P.389

ubiquitin-activating enzyme(ユビキチン活性化酵素)
 ■同義名 E1。
 ■分子量
 220K(native),108K(サブユニット)〔哺乳類〕1)

核関連タンパク質 核内タンパク質

centromere proteins

著者: 舛本寛 ,   岡崎恒子

ページ範囲:P.392 - P.393

17KD centromere antigen(17KDセントロメア抗原タンパク質)
 ■同義名
 CENP(CENtromere Protein)-Aとも言う。

核孔複合体タンパク質:gp 190, ATPase/dATPase, p 62

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.394 - P.394

gp 190
 ■分子量 190K。
 ■歴史
 1982年核孔複合体のタンパクとして初めて同定された1)

maturation promoting factor

著者: 西本毅治

ページ範囲:P.395 - P.396

maturation promoting factor(MPF)(エムピイーエフ)
 ■同義名
染色体凝縮因子,卵成熟促進因子。

S1 proteins

著者: 井上晃 ,   高橋研一 ,   東庸太郎 ,   森澤成司

ページ範囲:P.397 - P.397

S1 proteins(S1タンパク質)
 S1タンパク質はA,B,C,Dから成る一組のタンパク質群で,SDS電気泳動でそれぞれ近接する2本のバンド(A,B,C),あるいは3本のバンド(D)に分離する。

SⅡ

著者: 名取俊二

ページ範囲:P.398 - P.398

SⅡ
 ■同義名
 転写因子SⅡあるいはtranscription factor S Ⅱ(TFSⅡ)とも呼ばれる。また一部の論文ではTFⅡSという呼び方をしているものがあるが,これはSⅡの同義名である。

transition protein

著者: 飛田亨

ページ範囲:P.399 - P.399

 transition protein(TP)(変遷タンパク質)
 ■同義名 testis specific Protein。
 ■分子量 6K~12K(4分子種 TP1~4)。

lamin A, B, C

著者: 柴田昌夫

ページ範囲:P.400 - P.401

lamin A(ラミンA)
 ■同義名 なし。
 ■分子量 70K(ラット肝,SDS-PAGE)。

核小体タンパク質

B23, C23

著者: 中安博司

ページ範囲:P.402 - P.403

 B23
 ■同義名 nucleophosmin, numatrin, No 38タンパク質。
 ■分子量
 B23は292個のアミノ酸残基から成る38~40Kの酸性タンパク質である。等電点は5.0~5.1。ラットでは,1個の遺伝子からスプライシングの違いなどにより二種以上のアイソマーが産生されているが1),これは他の細胞にも一般化できると考えられる。生体中では六量体(4分子のαアイソマーと2分子のβアイソマー)の形で存在しているらしい。B23はすでに核小体から単一に精製され,ラット,マウス,ヒト,ニワトリやXenopusでcDNAの塩基配列が知られている。

血漿(清)タンパク質 血液凝固関連タンパク質

protein C, protein S, thrombomodulin, protein C inhibitor

著者: 鈴木宏治

ページ範囲:P.406 - P.408

 プロテインC,プロテインS,トロンボモジュリン,プロテインCインヒビターは,いずれも血液凝固の制御機構(protein C anticoagulant pathway)に関与する血漿タンパク質および細胞膜タンパク質である。プロテインC血液凝固制御機構の概略を図に示す。

組織プラスミノーゲンアクチベーター

著者: 永松淳雄

ページ範囲:P.409 - P.409

tissue-type plasminogen activator(t-PA)(組織プラスミノーゲンアクチベーター)
 ■分子量
 72K(ヒトメラノーマ細胞1):SDSおよびnative)。

補体系

Ra-reactive factor

著者: 川上正也

ページ範囲:P.410 - P.410

 Ra-reactive factor(Ra反応性因子) ■同義名 RaRF。
 ■分子量および構造
 マウス血清中のRa-reactive「actor(RaRF)は,分子量28K,100Kの糖タンパク質(P28a,P28b,P100)を含む複合体で,全体の分子量は約300Kである。P28a,P28bは補体亜成分C1qのように,N末端近くにコラーゲン様のドメインがあるが,C末端側には多くの動物レクチンに共通のアミノ酸配列がある。これらの一次構造はラットやヒトのマンナン結介タンパク質ともっともよく似ている。P100は,29Kと70Kのポリペプチド鎖から成っている。P100の全体構造は未だわかっていないが,一部にはC1r,C1sに似た一次構造が認められる。

factor J, homologous restriction factor, CD59, C2様タンパク

著者: 高田明和

ページ範囲:P.411 - P.412

factor J(J因子)
 ■分子量 20K(SDS)。
 ■歴史
 補体の第一成分,C1は分子量440KのClqと83KのC1rが2つ,83KのC1sが2つからなる740Kのタンパクである。C1r,C1sはC1qの部分が抗体のFc部分に結合すると活性化されプロテアーゼの作用をもつCli,C1sとなる。C1のインヒビターとしてはC1f,C1sと結合してこれを阻害するC1 INHK(110K)とC1qのレセブターが修飾されたC1q INHが知られている。1989年にNicholson-Wellerらは尿中よりC1を限害する新しいインヒビターを思出し,これをfactor Jと名付けた。

結合タンパク質

α2-macroglobulin, serum vitamin D-binding protein, early pregnancy factor, IGF binding protein, mammary serum antigen, sex steroid-binding protein

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.413 - P.417

 α2-macroglobulin(α2M)(α2マクログロブリン)
 ■分子量
 (サブユニット)185K(SDS)4),160, 837(cDNA)6),(天然型:四量体)725K(沈降平衡)2)

リポタンパク質

apolipoprotein

著者: 板倉弘重

ページ範囲:P.418 - P.419

apolipoprotein(アポリポタンパク)
 アポリポタンパクはリポタンパクを構成するタンパク質であり十数種類が発見されている。

その他

crystallins

著者: 近藤寿人

ページ範囲:P.431 - P.431

 crystallins(クリスタリン)
■特異性
 クリスタリンは,水晶体に特異的であり,また水晶体中で大量に合成される可溶性タンパク質の総称である。脊椎動物のクリスタリンはタンパク質の生化学的な性質や抗原性などの点から,α,β,γ,δの4つのクラスに大まかに分けられている。αおよびβは普遍的であり,δは鳥類と爬虫類,γはそれ以外の類に限られていると考えられている。
 水晶体のタンパク質の90%以上はクリスタリンで占められている。水晶体の均一な屈折率と透明度はクリスタリンの性質によるものであると考えられている。クリスタリン分子の寿命は長く,胎児期につくられはじめたクリスタリンは,その個体で一生持ちつづけられる。

P-proteins

著者: 内海利男

ページ範囲:P.432 - P.432

 P-proteins(Pタンパク質)
動物細胞のリボソームにおける3種の酸性リンタンパク質P0,P1,P2の総称。
 ■分子量
 SDS-PAGEによる分子量の値は生物種によって異なりP0は33~38K,P1は13~19K,P2は12~17Kである。またcDNAクローンの塩基配列から推定されるヒトP-proteinsの分子量はP0;34,273,P1;11,514,P2;11,665である。

probasin

著者: 西望

ページ範囲:P.433 - P.433

probasin(プロバジン)
 ■同義名
 当初20K,20K-NHP,M-40などの名称が与えられたが,現在はprobasinが用いられている。

シャペロンタンパク質

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.434 - P.436

 molecular chaperone(分子シャペロン:総称)
■同義名
chaperone,chaperone protein。

ezrin, pancreas-specific protein, ARPP-16

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.437 - P.438

ezrin(エズリン)
 ■同義名 p811),p802)
 ■分子量 81K(SDS)3),69K(cDNA)4)

増殖・成長因子関連タンパク質

cdc 2タンパク質,cyclin

著者: 岸本健雄

ページ範囲:P.422 - P.423

cdc 2タンパク質
 ■同義名 cdc2キナーゼと同義。
 ■分子量
 分子量はSDS-PAGEで34K。

熱ショックタンパク質

HSP 70, HSP 90

著者: 矢原一郎

ページ範囲:P.424 - P.425

 HSP 70
 HSP 70:hSp 70と小文字を使う研究者も多い,和名はない。

クロマフィン顆粒関連タンパク質

chromogranin A,secretogranin Ⅰ,secretogranin Ⅱ,1B1075遺伝子発現産物

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.426 - P.428

chromogranin A(CGAまたはCgA)1,6)(クロモグラニンA)
 ■同義名 secretory protein-1(SP-1)。
 ■分子量
 70-75K(SDS)[ウシクロマフィン顆粒],53K(沈降平衡:ウシ),48K(cDNA:ウシ),49K(cDNA:ヒト)。

FSH放出制御因子関連タンパク質

inhibin A, B, activin A, follistatin, Müllerian inhibiting substance

著者: 藤田道也

ページ範囲:P.429 - P.430

inhibin A,B(インヒビンA,B)
 ■分子量
 32K(SDS),18K(SDS:αサブユニット),14K(SDS:βサブユニット)。

基本情報

生体の科学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1883-5503

印刷版ISSN 0370-9531

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