icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻4号

1990年08月発行

文献概要

特集 New proteins 細胞骨格・筋関連タンパク質 アクチン結合タンパク質

アクチン線維切断タンパク質(actin filament-severing proteins),ゲルゾリンファミリー(gelsolin family)

著者: 野々村禎昭1 桜井隆1

所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.307 - P.307

文献購入ページに移動
 粘菌から哺乳類にいたるまで多くの真核生物にカルシウム依存性のアクチン線維切断タンパク質が発見されている。これらのタンパク質に共通な性質はアクチン線維の切断,反矢じり端のキャッピング,アクチン重合の核形成促進作用である。G-アクチン(アクチンモノマー)結合部位とF-アクチン(アクチンポリマー)の側面への結合部位の最低二つのアクチン結合部位をもち,これらが協同的に作用することによりアクチン線維のモノマー-モノマー間の結合を弱め切断を行うと考えられている。切断後は生じたアクチン線維断片の反矢じり端(barbedend,fast-growing end,+end)をキャッピングし断片が再結合することを防ぐ。アクチンの重合時にはG-アクチンとの結合の結果生じたアクチンオリゴマーと切断タンパク質の複合体が重合の核となり,重合の初期過程を促進するが,結果的には短いフィラメントを多数生じさせる。一次構造が解析されたgelsolin,villin,fragmin,severinの比較により,これらのタンパク質は共通の祖先から進化して生じたと考えられるアクチン切断タンパク質のファミリーを形成していることが明らかとなった。これらのタンパク質はアミノ酸配列が比較的保存された14~17kDaのsegmentの繰り返しからなっている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら