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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻4号

1990年08月発行

文献概要

特集 New proteins 細胞骨格・筋関連タンパク質 中間径フィラメントおよび関連タンパク質

vimentin, desmin, glial fibrillary acidic protein, neurofilament protein, keratin, synemin, paranemin, filaggrin, plectin

著者: 安藤祥司1 稲垣昌樹1

所属機関: 1愛知県がんセンター研究所・共通実験室・放射線部

ページ範囲:P.326 - P.332

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 中間径フィラメントは,多くの真核細胞に存在し,微小管,アクチンフィラメントと共に,細胞質内に細胞骨格と呼ばれるタンパク質線維のネットワークを形成している。中間径フィラメントの名称は,フィラメントの直径(10nm)が,微小管の直径(25nm)とアクチンフィラメントの直径(6nm)の中間であることに由来する。また,10nm(あるいは100A)フィラメントとも呼ばれる。その存在は,1968年,石川らによって培養筋細胞の電子顕微鏡観察によって最初に報告された。その後,中間径フィラメントの研究は,1970年代後半から,生化学そして分子生物学的手法の発展に伴って加速度的に進展し,ユニークな中間径フィラメント像が明らかになりつつある。
 中間径フィラメントは細胞骨格成分の中でもっとも安定な構造体の一つであり,不溶性が高い。微小管,アクチンフィラメントが,それぞれの可溶型構成タンパク質(チュブリン,アクチン)との間での重合・脱重合の平衡状態でフィラメント構築を維持しているのに対して,一度形成された中間径フィラメントからのフィラメントタンパク質への解離は,何らかの制御因子なしでは考えられない程,中間径フィラメントは安定である。この中間径フィラメントの極端な安定性と不溶性は“細胞骨格”という名前の創設に深く結びついている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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