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特集 LTPとLTD:その分子機構
文献概要
イノシトールリン脂質の一種ホスファチジルイノシトール4,5-2リン酸(PIP2)は,セカンドメッセンジャーとして有名なイノシトール3リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)を産生することはよく知られている。親水性のIP3は細胞内を拡散して細胞内小胞体(ER)に作用し,Ca2+の放出を引き起こす。また疎水性のDGは膜内に存在して,細胞質内をトランスロケートしてきたCキナーゼ(PKC)を活性化する。ここで最初に登場するPIP2を補給するのが,本章の主題であるイノシトールリン脂質の代謝回転(PIレスポンス)である。
これまでのLTPおよびLTDの実験の多くは,それぞれ海馬および小脳において遂行されてきた。そして,その海馬や小脳のニューロンには,PIレスポンスの構成要素である脂質・酵素・受容体が存在していることが報告されている。さらには,PIレスポンスを駆動する興奮性アミノ酸(グルタミン酸)の受容体が,海馬ニューロンや小脳プルキンエ細胞に多く存在することもすでに明らかになっており,これらとLTP・LTDとの関係についても活発な研究が始まっている。
これまでのLTPおよびLTDの実験の多くは,それぞれ海馬および小脳において遂行されてきた。そして,その海馬や小脳のニューロンには,PIレスポンスの構成要素である脂質・酵素・受容体が存在していることが報告されている。さらには,PIレスポンスを駆動する興奮性アミノ酸(グルタミン酸)の受容体が,海馬ニューロンや小脳プルキンエ細胞に多く存在することもすでに明らかになっており,これらとLTP・LTDとの関係についても活発な研究が始まっている。
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