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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻5号

1990年10月発行

文献概要

特集 LTPとLTD:その分子機構

LTDの分子メカニズム:一酸化窒素の役割

著者: 渋木克栄1 岡田大助1

所属機関: 1理化学研究所国際フロンティア研究システム思考ネットワーク研究チーム

ページ範囲:P.468 - P.472

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 一酸化窒素(NO)という,あまり生理学とは縁のなさそうな物質が近年われわれの注目をあびるに至ったのは,NOが血管内皮細胞由来の弛緩因子(EDRF)の一つに他ならないというMoncadaらの報告による1)。さらに小脳細胞からもNOの発生がみられるとのGarthwaiteらの報告2)によって,興味は中枢神経系におけるNOの役割へと広がってきた。というのもNOはガスであり,組織内を素早く拡散して細胞膜も自由に通過するので,当初から細胞間メッセンジャーとしての機能が考えられていたからである。とくに細胞間の情報交換を通して成り立つシナプスの可塑的変化にNOが関与するかも知れないという期待があった3)
 NOの作用の一つは,可溶性のグアニレートサイクラーゼを活性化することである。小脳におけるNOの発生もcGMP産生をメルクマールとして捉えられた2)。ちなみに小脳では他の脳部位と比較して高濃度のcGMPが存在する4)。さらにこのcGMPは登上線維を刺激すると高まることが知られている5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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