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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻5号

1990年10月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

肝臓―毛細胆管の収縮機能

著者: 織田正也1 横森弘昭1 石井完治1 金子博1 東俊文1 西崎泰弘1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.513 - P.524

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 肝臓で胆汁が生成され,胆道から十二指腸へ排泄されることは古くから知られていたが,その機構に関しては現在なお不明な点が多い。この胆汁の生成と排泄は,代謝の中心臓器としての肝臓が果たす諸機能のなかでもっとも基本的かつ重要な機能の一つである。
 最近,肝細胞内に新しい小器官(organelle)として細胞骨格(cytoskeleton)1)の存在が注目され,とくに胆道系の起始部である毛細胆管の周囲に豊富に見出されたアクチンフィラメント(マイクロフィラメント)2)は毛細胆管の律動的な収縮運動をひき起こし,毛細腔に分泌された胆汁を駆出する物理的要因として重要であることが指摘された。そして,この毛細胆管周囲性アクチンフィラメント(BCMF)の障害によって,肝臓内に胆汁が停滞する,いわゆる肝内胆汁うっ滞と呼ばれる黄疸が起こることが示され,新しい病因説の提唱に至った3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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