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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻6号

1990年12月発行

文献概要

特集 注目の実験モデル動物

mdxマウス

著者: 竹光正和1 埜中征哉1

所属機関: 1国立精神・神経センター,神経研究所(NCNP)微細構造研究部

ページ範囲:P.549 - P.552

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 ヒト進行性筋ジストロフィーでもっとも頻度の高いのはDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)である。DMDにもっとも近いモデル動物として注目を集めているのがX染色体性劣性遺伝をとるX chromosome-linked muscular dystrophy mouse(mdxマウス)である。mdxマウスは1984年BulfieldらによってC57BL/10 ScSn系マウスの中にクレアチンキナーゼ(CK)やピルビン酸キナーゼ(PK)が高値を示す変異種として初めて報告された1)。分子生物学的には,DMDと同様に心筋および骨格筋で分子量が約40万のジストロフィン蛋白が欠損しているので(図1),その病因に多くの共通性があると考えられている2-7)。mdxマウスはジストロフィン遺伝子にpoint mutationがあり第3185番目のシトシンがチミンに一塩基置換したために,グルタミン・コドン(CAA)がストップ・コドン(TAA)となりジストロフィンが産生されない8)。ジストロフィンの欠損が筋線維の壊死を起こす一因であることは推測されるが,DMDの究極的原因は未だ不明である。ジストロフィンの欠損しているmdxマウスを研究することでジストロフィンの生理学的役割や筋線維の壊死に陥る原因の解明が期待されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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