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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻6号

1990年12月発行

文献概要

特集 注目の実験モデル動物

SCIDマウス

著者: 垣生園子1

所属機関: 1東海大学医学部免疫学教室

ページ範囲:P.553 - P.556

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 I.SCIDマウス発見の背景
 1983年,Bosmaら1)は検索していた35匹のCB-17マウスの血清中にCB-17 allotype(Ighb)の免疫グロブリン(Ig)が欠如しているものが4匹存在することに気付いた。この4匹の血清中にはBALB/c allotype(Igha)のdeterminantsも見出されなかった。さらにこの血清を詳細に調べると,主なIgクラス(IgM,G3,G2b,G2a,A)も欠如していた。また,このIg欠如の血清を持つ4匹のマウスは同腹7匹のうちの4匹であった。これら7匹を生産した親のうち♂が血清Ig欠如(Ig)であった。このIg♂を正常♀と交配すると仔マウスの1/2にIgが出現する場合と,すべてIgマウスになる場合があり,CB-17ミュータントのIg欠如は劣性遺伝することがわかった。Igマウスを選択交配し続けてこのミュータントのコロニーを作製してみると,このマウスは,BのみでなくT細胞免疫機能も欠如していることがわかった。症状的には,ヒトのsevere combined immunodeficiency(SCID)に類似しているので,このミュータントはSCIDマウスと命名された。ヒトにおけるSCIDの原因は単一ではない。もっとも良く知られている小児のSCIDではadenosine deaminase(ADA)の欠損が原因とされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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