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特集 注目の実験モデル動物
悪性脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット
著者: 砂野哲1
所属機関: 1近畿大学高血圧研究所
ページ範囲:P.557 - P.559
文献購入ページに移動 人体における疾患あるいはその治療の研究には制限があり,そのため疾患モデル動物の発見あるいは開発の努力がはらわれてきた。高血圧の研究においても同様で各種の高血圧モデル動物が開発されている。それらはまず遺伝的に高血圧を示すものと後天的に高血圧にしたものとに分けることができる。前者には後で述べるOkamotoand Aokiによる高血圧自然発症ラット(spontaneouslyhypertensive rats,SHR)やニュージーランド高血圧ラット,Dahl食塩感受性ラット,ミラノ高血圧ラット,リョン高血圧ラットなどが開発されている。後者には腎性高血圧動物,DOCA食塩負荷高血圧動物をはじめとするいわゆる副腎性高血圧動物やその他のホルモンによる高血圧動物,神経性高血圧動物,動脈絞窄性高血圧動物などがある。これらのなかでSHRは高血圧自然発症モデルとして世界でもっともよく用いられている動物である。Okamotoらはその後,脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(stroke-prone SHR,SHRSP)を開発し,1981年から1982年にかけてはさらに悪性の脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(malignant SHRSP,M-SHRSP)を開発した。本稿ではOkamotoらによるM-SHRSPの開発の経過とこの高血圧モデル動物の性質について述べる。
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