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文献詳細

雑誌文献

生体の科学41巻6号

1990年12月発行

連載講座 新しい観点からみた器官

腎臓―エンドセリンと腎

著者: 内田俊也1 黒川清2

所属機関: 1東京大学医学部第四内科 2東京大学医学部第一内科

ページ範囲:P.597 - P.600

文献概要

 腎は,生体の恒常性を維持する器官として重要な位置を占めている。ヒトは自由に水分・塩分などを経口的に摂取しているが生体はこれらの成分が過剰になることも不足することもなくその恒常性を維持している。それは腎において過不足なくこれらの成分を尿中に排泄することによって調節しているからである。したがって腎は水・電解質代謝を調節する臓器であるという対象として主に生理学的研究がなされてきた。腎と一言で言っても,ネフロンの機能には不均一性nephron heterogeneityがあるため,近位尿細管と遠位尿細管の間でもきわめて異なった機能を有している。しかし,この一見不均一と見られる各尿細管部位の機能が腎全体として統合され,体液の恒常性維持のため見事なまでの調和を見せていることはよく知られている。
 その後,輸入細動脈に存在する傍糸球体装置でレニンが合成・分泌されていることが判明するにつれ,内分泌器官としての腎の役割がクローズアップされてきた。現在では,腎内で局所的に産生されるレニン・アンギォテンシン系の他エリスロポエチン,プロスタグランジン,カリクレイン・キニン系の産生が調べられ,それらの局所ホルモンとしての役割が理解されるようになった。また,近位尿細管では,ビタミンDの活性化を行うことにより,カルシウム代謝にも関与している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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