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特集 脳と免疫
神経系と免疫系の関連―とくに精神機能と免疫機能の関連について
著者: 藤田道也1
所属機関: 1浜松医科大学生化学第二
ページ範囲:P.2 - P.5
文献購入ページに移動I.神経免疫学と精神神経免疫学の進歩
神経系と免疫系の関連が着目されるようになってからかなりの時が過ぎたと思われる。というのは,すでに1983年に脳ないし神経系と免疫にふれた論文数が年間800をこえているからである。同主旨の論文は8年後の1990年には約2倍にふえている(図1)。高次神経機能が関与すると思われるストレスと免疫機能の関連にふれた論文は1983年には全体の1/8であったが,1990年には1/6強にふえている。これらにくらべて絶対数でははるかに少ないが,neuroimmunology(神経免疫学)という用語を用いた論文は1983年には一桁であったものが1990年には二桁約10倍の伸びを示している(図1)。これは1981年にJ. NeuroimmunologyがElsevierから創刊され,1982年には神経免疫学者による初めての国際会議が開かれたことからみれば当然であり,論文数が二桁ではむしろ進歩が遅れているとも言える。同様に,psychoneuroimmunology(精神神経免疫学)という用語を用いた論文もこの間に10倍の増加を示している。ストレスと免疫の関連が古く1920年頃から研究され始めたことを考慮すると精神神経免疫学という用語が認知され始めたのはきわめて最近のことであると言わねばならない。
神経系と免疫系の関連が着目されるようになってからかなりの時が過ぎたと思われる。というのは,すでに1983年に脳ないし神経系と免疫にふれた論文数が年間800をこえているからである。同主旨の論文は8年後の1990年には約2倍にふえている(図1)。高次神経機能が関与すると思われるストレスと免疫機能の関連にふれた論文は1983年には全体の1/8であったが,1990年には1/6強にふえている。これらにくらべて絶対数でははるかに少ないが,neuroimmunology(神経免疫学)という用語を用いた論文は1983年には一桁であったものが1990年には二桁約10倍の伸びを示している(図1)。これは1981年にJ. NeuroimmunologyがElsevierから創刊され,1982年には神経免疫学者による初めての国際会議が開かれたことからみれば当然であり,論文数が二桁ではむしろ進歩が遅れているとも言える。同様に,psychoneuroimmunology(精神神経免疫学)という用語を用いた論文もこの間に10倍の増加を示している。ストレスと免疫の関連が古く1920年頃から研究され始めたことを考慮すると精神神経免疫学という用語が認知され始めたのはきわめて最近のことであると言わねばならない。
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