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特集 脳と免疫
IL-1(interleukin-1)とTNF(tumor necrosis factor)による神経細胞イオンチャネルの制御
著者: 澤田正史1
所属機関: 1島根医科大学第二生理学教室
ページ範囲:P.17 - P.22
文献購入ページに移動 生体は神経系,免疫系さらに内分泌系といった生体防御系を有しその恒常性を維持している。最近,神経系と免疫系との間には共通の伝達物質および受容体が存在し,両系がお互いに影響しあっていることが明らかとなりつつある。生体は外界からのウイルスや細菌などの異物の侵入に際して,発熱,睡眠,食欲減退と言った種々の中枢神経症状を示し,速やかに対応する。近年,これらの中枢神経症状の発現は免疫担当細胞であるマクロファージ単球系によって産生される種々のサイトカイン(interleukin-1,IL-1;腫瘍壊死因子,tumor necrosis factor,TNF)の中枢神経系への直接作用によることが明らかとされつつある1-4)。このように,本来免疫刺激物質として発見されたIL-1,TNF,インターフェロン(INF)などのサイトカインは,免疫系のみならず中枢神経系にも作用して種々の生理的反応を起こしている5,6)。本稿ではとくにIL-1とTNFの中枢神経系への作用に関連し,その神経細胞膜レベルでの作用機序について電気生理学的,薬理学的に解析した筆者の最近の実験結果を中心に記述してみたい。
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