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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻1号

1991年02月発行

文献概要

実験講座

成熟哺乳類脳神経細胞の初代培養法

著者: 緒方宣邦1

所属機関: 1九州大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.64 - P.73

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 種々の中枢神経機能の発現は,多くの場合,イオンチャネルの活動の変化によって引き起こされる。したがって,中枢神経細胞におけるイオンチャネルの働きの解析は,各種中枢神経機能の生理学的あるいは薬理学的研究にとってきわめて重要なものである。イオンチャネルはその性質上二つのタイプに大別することができる。一つは受容体に結合し神経伝達物質によりその開閉がコントロールされているもの(受容体結合チャネル)であり,もう一つは膜電位の変化により活性化されるもの(電位依存性チャネル)である。一般的に,前者は膜電位の変化には反応せず,逆に後者は化学物質には感受性を持たない。しかしながら,最近の多くの研究は,この原則が必ずしも成り立たないことを示している。中枢神経細胞に生体内活性物質あるいは薬物が作用する場合,その作用標的としては大きく二つの場合に大別できる。第一は神経伝達機構そのものに作用する場合であり,第二は神経伝達以外の部位に働く場合である。前者の場合においてはその作用点としてシナプス前,シナプス後の多くの部位が考えられるが,多数の生体内あるいは生体外物質が直接に受容体結合イオンチャネルの働きを修飾することが明らかになりつつある。後者の代表的な例としては種々の電位依存性イオンチャネルが考えられるが,いずれにしてもイオンチャネルは生体内活性物質や薬物の重要な作用標的であると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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