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特集 脳の移植と再生
神経組織の脳内移植についての私見
著者: 川村光毅1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.82 - P.85
文献購入ページに移動 「脳の移植」という編集室からいただいた標題はキーワードとしてはよいが,衝撃的な響きもするし,まるごとの脳のことかと誤解されるむきもあるかと思うので,表題のように「神経組織の脳内移植」という面倒でもより正確な表現を用いることにする。
筆者自身はこのテーマに関する歴史的背景については,読書家並みの知識1,2)しか持ち合せていないのだが,異種間の哺乳動物成体の脳組織の移植を行ったThompson3)を嚆矢とするという。丁度100年前で,日本では帝国憲法が制定されて間もない頃である。当然のこととして,神経組織は拒絶されて生着しなかった。1917年になって初めて同腹の幼若ラット(生後9~10日)間の大脳皮質組織の移植実験成功例がDunn4)によって報告された。彼女はこの研究に14年間かけている。
筆者自身はこのテーマに関する歴史的背景については,読書家並みの知識1,2)しか持ち合せていないのだが,異種間の哺乳動物成体の脳組織の移植を行ったThompson3)を嚆矢とするという。丁度100年前で,日本では帝国憲法が制定されて間もない頃である。当然のこととして,神経組織は拒絶されて生着しなかった。1917年になって初めて同腹の幼若ラット(生後9~10日)間の大脳皮質組織の移植実験成功例がDunn4)によって報告された。彼女はこの研究に14年間かけている。
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