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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻2号

1991年04月発行

文献概要

特集 脳の移植と再生

神経組織の脳内移植についての私見

著者: 川村光毅1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.82 - P.85

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 「脳の移植」という編集室からいただいた標題はキーワードとしてはよいが,衝撃的な響きもするし,まるごとの脳のことかと誤解されるむきもあるかと思うので,表題のように「神経組織の脳内移植」という面倒でもより正確な表現を用いることにする。
 筆者自身はこのテーマに関する歴史的背景については,読書家並みの知識1,2)しか持ち合せていないのだが,異種間の哺乳動物成体の脳組織の移植を行ったThompson3)を嚆矢とするという。丁度100年前で,日本では帝国憲法が制定されて間もない頃である。当然のこととして,神経組織は拒絶されて生着しなかった。1917年になって初めて同腹の幼若ラット(生後9~10日)間の大脳皮質組織の移植実験成功例がDunn4)によって報告された。彼女はこの研究に14年間かけている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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