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特集 脳の移植と再生
副腎髄質移植と宿主ドーパミン線維の回復
著者: 伊達勲1
所属機関: 1岡山大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.103 - P.107
文献購入ページに移動 パーキンソン病モデル動物に対して胎仔黒質細胞を線条体内に移植するとその機能が回復することが実験的に証明1,2)されて以来,副腎髄質クロマフィン細胞,上頸交感神経節細胞,頸動脈グロームス細胞などが胎仔黒質細胞に代わるカテコラミンの源としてドナーに用いられ,宿主の機能を回復させ得ることが証明されてきた3-5)。その中でも副腎髄質移植はすでに世界で200例を越えるパーキンソン病の患者に対して臨床応用されてきているが6),その効果は一定ではなく,また剖検例において生着したクロマフィン細胞がほとんど証明されていない7)。
最近,パーキンソン病モデル動物の機能回復の機序の一つとして,残存している宿主の内因性ドーパミン(DA)線維に対して移植片がトロフィックに働きその回復を促進するという考え方がある8)。副腎髄質クロマフィン細胞はガングリオシド,basic fibroblast growth factor(bFGF)などのトロフィック因子を含んでおり9,10),その生着率が宿主の内因性DA線維の回復の程度に大いに関係すると考えられる。本稿では主に宿主の内因性DA線維の回復という面から,副腎髄質移植の効果について述べる。
最近,パーキンソン病モデル動物の機能回復の機序の一つとして,残存している宿主の内因性ドーパミン(DA)線維に対して移植片がトロフィックに働きその回復を促進するという考え方がある8)。副腎髄質クロマフィン細胞はガングリオシド,basic fibroblast growth factor(bFGF)などのトロフィック因子を含んでおり9,10),その生着率が宿主の内因性DA線維の回復の程度に大いに関係すると考えられる。本稿では主に宿主の内因性DA線維の回復という面から,副腎髄質移植の効果について述べる。
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