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特集 ペルオキシソーム/最近の進歩
ペルオキシソームの形態と形成過程
著者: 市川操1
所属機関: 1横浜市立大学医学部解部学教室
ページ範囲:P.169 - P.174
文献購入ページに移動 ペルオキシソーム(PO)の形態を述べるにあたって,筆者がこれまで行ってきたPOについての研究は哺乳動物(主としてラットとスナネズミ)の肝細胞で行われたので,以下の記述はこれらの材料から得られた知見を中心におき,その他の事項については文献的な紹介に止どめることをお断りしておく。とくに本稿では,最近筆者らが微細形態分析のための画期的な試料処理法として重用している急速凍結置換固定法1)で肝細胞を処理した場合,POおよびそれに関連があると云われている細胞小器官がどのように観察されるか,またPOの形態形成に関与すると考えられている細胞内諸構造がPOの形成促進時にどんな動態を示すか,細胞が生きている時の状態をほぼ忠実に反映していると考えられる急速凍結試料の切片像を観察した結果を中心に,その形態と形成機序について考察する。
POは電子顕微鏡ではじめてその存在が明らかになった細胞小器官の一つで,1954年Rhodinによってマウス腎臓の近位尿細管上皮細胞に含まれる直径0.3~0.6μm,一層の限界膜に包まれ,中等度の電子密度をもった均質な微細果粒状の基質を容れる球状の構造物としてはじめて記載された2)。この時点で,この小体はその生理学的意義がわからないままに一般的な名称としてマイクロボデイと呼ばれた。
POは電子顕微鏡ではじめてその存在が明らかになった細胞小器官の一つで,1954年Rhodinによってマウス腎臓の近位尿細管上皮細胞に含まれる直径0.3~0.6μm,一層の限界膜に包まれ,中等度の電子密度をもった均質な微細果粒状の基質を容れる球状の構造物としてはじめて記載された2)。この時点で,この小体はその生理学的意義がわからないままに一般的な名称としてマイクロボデイと呼ばれた。
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