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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻3号

1991年06月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

皮膚:表皮細胞における細胞間接着と細胞基質間接着の制御

著者: 北島康雄1

所属機関: 1自治医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.209 - P.217

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 皮膚は表皮と真皮から構成されている。表皮は下層から基底細胞層,有棘細胞層,顆粒細胞層,角質細胞層に分けられる。表皮細胞は基底細胞層で分裂し,上層へ移行するにつれて分化(角化)し,最終的に死細胞となり角質層を形成する。真皮は表皮真皮境界の特種な構造1)を介して表皮を構造的,機能的に支えている。真皮には線維芽細胞,血管,リンパ管,神経,皮膚付属器などがあり,それぞれが皮膚の構造と機能を分担している。すなわち,真皮成分はそれぞれが一つの構造機能単位として働いている。一方,表皮細胞は,表皮内に存在するランゲルハンス細胞などの免疫担当細胞および遊走しているリンパ球などの血液成分と相互作用,クロストークをしながら免疫学的器官としても機能している2)。皮膚はこのような広範な機能を包括しており,それぞれの分野で新しい研究成果が蓄積されている。
 このように多方面に渡る皮膚の機能が有機的に遂行されるには,細胞間,細胞と基質間の接着構造やその制御とシグナル伝達が重要である。そこで,表皮細胞間接着および表皮真皮境界接着の構造,とくにデスモソーム,インテグリンについてその制御機構に関する最近の知見をわれわれの研究も加えながらまとめ,表皮および表皮細胞が研究モデルとして広く医学,生物学の分野に貢献できる可能性を模索したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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