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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻4号

1991年08月発行

文献概要

特集 開口分泌の細胞内過程

刺激分泌連関におけるイオンチャネルの役割

著者: 加藤昌克1

所属機関: 1群馬大学内分泌研究所生理学部門

ページ範囲:P.276 - P.280

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 刺激分泌連関は細胞外からの刺激にはじまり細胞内から細胞外への物質(ホルモン,伝達物質など)の放出に至る一連の過程をいう。放出は多くの場合,開口分泌であるが,その像はまず電子顕微鏡でとらえられた。近年,ノマルスキー顕微鏡とコンピュータによる画像処理を組合せることにより生きた細胞における開口分泌をビデオでとらえることが可能になった(本特集寺川氏の総説を参照)。生理学的には神経筋接合部の終板電位の解析から伝達物質の量子放出が明らかになり1,2),その放出の過程にカルシウムイオン(Ca2+)が重要であることが示された3)。このCa2+の役割はDouglas4)によって一般化され,下垂体細胞からのホルモン分泌,副腎髄質細胞からのエビネフリンの分泌,唾液腺の分泌などもすべて細胞外から細胞内へのCa2+の流入を介して起こるとされた。このDouglasのカルシウム説はその大筋において現在も変更の必要はないと考えられる。ここで便宜上刺激分泌連関を二つの過程にわけて考えたい。一つは細胞質Ca2+濃度(〔Ca2+i)の制御である。他は〔Ca2+iの上昇から開口分泌に至る過程である。本稿では前者すなわちいかなるメカニズムで〔Ca2+iの上昇が起こるのかを下垂体成長ホルモン(GH)細胞を例に概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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