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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻4号

1991年08月発行

文献概要

実験講座

突然変異DNAの検出法(SSCP法)

著者: 林健志1

所属機関: 1国立がんセンター研究所腫瘍遺伝子研究部

ページ範囲:P.309 - P.311

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 今日,多くの生物種のゲノムDNAの様々な領域の塩基配列が決定されている。これらは雑誌に論文として報告され,さらにGenBankあるいはEMBLデータベースに登録されて公開されている。市販のDNA配列解析ソフトウエアの多くには上記のデータベースが含まれているので,これらを購入すれば,誰にでも利用できる。また,公的機関,たとえば東京大学医科学研究所や国立遺伝学研究所が公開しているDNA配列解析ソフトウエアと上記データベースを電話回線を経由して利用することも可能である。さて,このようにして知ることができる塩基配列は多くの場合それぞれの生物種のそれぞれの遺伝子あるいはゲノム領域の「代表的な」あるいは「正常な」配列である。個々の個体は常に正常な配列を持っているとは限らない,つまり突然変異体かもしれない。それではある個体の特定遺伝子に突然変異があるか否か,またその突然変異遺伝子の塩基配列の変化はどのような変化であるかを決定するにはどうしたらよいか。既知の正常配列をプローブとして突然変異個体の当該遺伝子を大腸菌を経由してクローニングし,その塩基配列を決定するのも一法である。しかしこれには相当の専門的技術と多大な労力を必要とする。また多数の突然変異体についてこれを行うのは大変困難である。最近急速に普及したポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction,PCR)はこのような困難を一挙に解決した1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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