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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅰ.レセプターに作用する薬物
アデノシン受容体(プリン受容体)
著者: 中田裕康1 黒田洋一郎1
所属機関: 1東京都神経科学総合研究所神経生化学
ページ範囲:P.338 - P.340
文献購入ページに移動アデノシンやATPなどのプリンヌクレオチドに対する受容体,すなわちプリン受容体はアデノシン選択性が高いアデノシン受容体(P1受容体)とATPに選択的なATP受容体(P2受容体)に大別される。これらはさらにサブクラスに分類されている1,2)(表を参照のこと)。
アデノシン受容体は従来アデニル酸シクラーゼ活性への効果を指標としてA1(阻害)とA2(促進)の二つのサブクラスへ分けられているが,系によって微妙な差がでることが多く,さらに細かく分類する動きがある。A1,A2ともに哺乳類組織に広く分布するが,A1受容体は脳の大脳皮質をはじめ海馬や小脳,睾丸,脂肪細胞に高濃度に存在し,A2受容体も脳に一般的に分布し線条体にはとくに高濃度で存在するといわれている。脳のA1タイプの受容体はADO-1ともいわれ,神経終末からの伝達物質の遊離を抑制し,A2タイプの受容体はcAMPを二次メッセンジャーとして伝達物質の遊離を促進し,両者の記憶過程における重要性も示唆されている3)。
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