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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅰ.レセプターに作用する薬物
ベンゾジアゼピン受容体
著者: 栗山欣弥1 廣内雅明1
所属機関: 1京都府立医科大学薬理学教室
ページ範囲:P.353 - P.354
文献購入ページに移動ベンゾジアゼピン(BZP)受容体は,抗不安薬の代表的な薬物であるBZP誘導体の作用部位として,その存在が知られるようになった。このBZP受容体は薬物の選択性により,中枢Ⅰ型,中枢性Ⅱ型および末梢型の3種類に大別されている1)。このうち中枢性BZP受容体がGABAA受容体と機能的および構造的に共役した状態で存在しており,BZPの中枢作用の発現に関与すると考えられている。一方,末梢性BZP受容体は中枢性BZP受容体とは異なる蛋白分子であるが,その生理的役割については明確ではない。
BZP誘導体の主要な薬理作用は,抗不安作用,抗痙攣作用,睡眠作用,筋弛緩作用であるが,これらの作用を有するBZPはfull agonistと呼ばれている。さらに最近ではBZP誘導体以外の薬物,すなわち非BZP系抗不安薬の多くも,中枢性BZP受容体に結合することにより作用することが明らかになってきている。またこれらの薬物は抗不安作用,抗痙攣作用などを示し,BZP誘導体の有する筋弛緩作用などの副作用の発現が認められないことを特徴とするものが多く,いわゆるpartial agonistとして作用していると考えられている(表1)2)。
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