文献詳細
特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅰ.レセプターに作用する薬物
文献概要
「概説」
1.ドーパミン(DA)受容体研究の歴史
DA受容体に関する研究は1960年代半ばに開始された。1965年,Bloomら1)は尾状核においてDAの抑制性あるいは興奮性反応を検出し,1971年,Grengardら2)がDA感受性アデニレートサイクレース(AC)を発見した。当初この酵素系におけるDA結合部位が唯一のDA受容体と考えられていたが,臨床用量のHalo-peridolの血漿中濃度が10nM以下3)で,DA感受性ACを阻害する濃度よりはるかに低いことから,ACに関与しないDA受容体の存在が推定された。事実Seemanら4)は1974年に[3H]DAの受容体結合実験で,Halo-peridolに対して親和性の異なる少なくとも2種類のDA受容体の存在を示した。1978年,Spanoら5)はACと共役するDA受容体と共役しないDA受容体を示し,翌年Kebabianら6)は前者をD1受容体,後者をD2受容体と命名した。
1.ドーパミン(DA)受容体研究の歴史
DA受容体に関する研究は1960年代半ばに開始された。1965年,Bloomら1)は尾状核においてDAの抑制性あるいは興奮性反応を検出し,1971年,Grengardら2)がDA感受性アデニレートサイクレース(AC)を発見した。当初この酵素系におけるDA結合部位が唯一のDA受容体と考えられていたが,臨床用量のHalo-peridolの血漿中濃度が10nM以下3)で,DA感受性ACを阻害する濃度よりはるかに低いことから,ACに関与しないDA受容体の存在が推定された。事実Seemanら4)は1974年に[3H]DAの受容体結合実験で,Halo-peridolに対して親和性の異なる少なくとも2種類のDA受容体の存在を示した。1978年,Spanoら5)はACと共役するDA受容体と共役しないDA受容体を示し,翌年Kebabianら6)は前者をD1受容体,後者をD2受容体と命名した。
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