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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅰ.レセプターに作用する薬物
ムスカリン受容体
著者: 芳賀達也1
所属機関: 1東京大学医学部脳研究施設生化学 2
ページ範囲:P.380 - P.385
文献購入ページに移動 「概説」
ムスカリン受容体の内在性活性物質はアセチルコリンで,典型的なアゴニストはムスカリン,アンタゴニストはアトロピンである。他のアセチルコリン受容体であるニコチン受容体とは,構造,機能,分布いずれもまったく異なる。ムスカリン受容体は副交感神経標的細胞,汗腺,血管,神経節,中枢神経系など生体に広く分布する。平滑筋の収縮または弛緩,唾液などの分泌亢進,伝達物質放出の促進あるいは抑制,シナプス後部の脱分極あるいは過分極など,器官の種類によって種々の反応を引き起こす。薬理学的性質からM1,M2,M3のサブタイプに細分類されており,それぞれに比較的特異なアンタゴニストとしてpirenzepine,AF-DX 116,hexahydrosiladifenidolなどがある。
ムスカリン受容体の分子種として5種が同定されており,m1,m2,m3,m4,m5と命名されている(研究グループによってmAChRⅠ,Ⅱ,Ⅲ,ⅣあるいはM1,2,4,3が使われたが,今後はm1-m5に統一されるものと思われる。m3がM4に,m4がM3に対応することに注意されたい)。いずれも細胞膜7回貫通構造を持つG蛋白質共役受容体である。受容体の主要な機能は,m1,m3,m5は百日咳毒素非感受性G蛋白質を介するホスホリパーゼCの活性化,m2とm4は百日咳毒素感受性G蛋白質を介するアデニル酸シクラーゼの阻害とK+チャネル開口である。
ムスカリン受容体の内在性活性物質はアセチルコリンで,典型的なアゴニストはムスカリン,アンタゴニストはアトロピンである。他のアセチルコリン受容体であるニコチン受容体とは,構造,機能,分布いずれもまったく異なる。ムスカリン受容体は副交感神経標的細胞,汗腺,血管,神経節,中枢神経系など生体に広く分布する。平滑筋の収縮または弛緩,唾液などの分泌亢進,伝達物質放出の促進あるいは抑制,シナプス後部の脱分極あるいは過分極など,器官の種類によって種々の反応を引き起こす。薬理学的性質からM1,M2,M3のサブタイプに細分類されており,それぞれに比較的特異なアンタゴニストとしてpirenzepine,AF-DX 116,hexahydrosiladifenidolなどがある。
ムスカリン受容体の分子種として5種が同定されており,m1,m2,m3,m4,m5と命名されている(研究グループによってmAChRⅠ,Ⅱ,Ⅲ,ⅣあるいはM1,2,4,3が使われたが,今後はm1-m5に統一されるものと思われる。m3がM4に,m4がM3に対応することに注意されたい)。いずれも細胞膜7回貫通構造を持つG蛋白質共役受容体である。受容体の主要な機能は,m1,m3,m5は百日咳毒素非感受性G蛋白質を介するホスホリパーゼCの活性化,m2とm4は百日咳毒素感受性G蛋白質を介するアデニル酸シクラーゼの阻害とK+チャネル開口である。
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