icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル

Ⅰ.レセプターに作用する薬物

ニコチン受容体

著者: 紺野不器夫1

所属機関: 1明治製菓㈱新薬研究所薬理室

ページ範囲:P.386 - P.390

文献概要

 「概説」
 アセチルコリン(ACh)は神経伝達物質として最初に決定された物質であり,大別すると二つの性質の異なる受容体と相互作用を行うことが古くより知られていた。一つは中枢や副交感神経節後線維と心臓,平滑筋臓器および各種の分泌腺などの効果器の接合部にあるムスカリン様受容体であり,もう一つは本稿で述べる中枢や自律神経の神経節,副腎髄質および運動神経の神経筋接合部(終板)に存在するニコチン様受容体である。ニコチン様受容体はタバコ(Nicotina tabacum)のアルカロイドのニコチンを少量与えると構造変化を起こし,カチオンの透過性を増大して膜電位を変化させ,その結果興奮の伝達が生ずるという生理機能を有している。しかし,その薬理学的性質は存在部位で多少異なっており,興奮の伝達は神経節ではヘキサメトニウムやペントリニウムで遮断され,終板ではd-ツボクラリン(クラレ)やデカメトニウムによって遮断される。AChのニコチン様受容体は実体としての研究がもっとも早くから発展してきた。その理由として,受容体密度の高い発電魚の発電器官(系統発生学的に横紋筋と考えられている)などの実験材料にめぐまれたことや各種の生化学的,遺伝子工学的実験法が進歩してきたことが挙げられる1,2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら