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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅱ.チャネルに作用する薬物
Caチャネル
著者: 河西春郎1
所属機関: 1東京大学医学部第一生理学教室
ページ範囲:P.410 - P.413
文献購入ページに移動Ca阻害剤という言葉はCaチャネルの阻害剤と言う意味で心筋平滑筋の研究において導入された1)。その代表例,ジヒドロピリジン誘導体は筋肉の主要なCaチャネルをほとんど完全に阻害する。しかし,神経のCaチャネルはジヒドロピリジン感受性以外にも種類があり,それらがむしろ主役なのでジヒドロピリジンの作用は弱い2,3)。脊椎動物神経細胞のCaチャネルは最低4群に分かれる(表1)。薬理的性質が異なることなどから,それらが別の分子であることは確実である。そのなかで,Ca流入路として重要なのは活性化に大きな脱分極の必要な高閾値(high voltage-activated)Caチャネルである。高閾値Caチャネルのなかには,ω-conotoxinGVIA(ωCgTX)によって不可逆的に阻害される群とジヒドロピリジン(DHP)誘導体で阻害される群,およびそのいずれでも阻害されない群がある。はじめの2種類の高閾値Caチャネルには動物種を通じて共通の生理的特徴があり(表1),また神経細胞の種類や部位での発現も異なり,その担う生理機能が違うことが考えられる2,3)。これら2種類のCaチャネルはいずれも強いCa依存性の不活性化を示し,不活性化を指標としてCaチャネル電流を分離同定することは困難である。
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