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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル

Ⅲ.代謝的に作用する薬物 トランスミッターの放出・取り込みに作用する薬物

アセチルコリン

著者: 前野巍1

所属機関: 1島根医科大学生理学教室

ページ範囲:P.428 - P.430

文献概要

 「概説」
 コリン作動性神経の伝達物質であるアセチルコリン(ACh)は高親和性コリン取り込み機構1,2)で神経終末内に取り込まれたコリンとアセチルCoA3)を基質として合成される。この合成に関与する酵素はコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT:EC 2・3・1・6)である4)。コリンは高親和性コリン取り込みとACh合成反応の基質であり,合成されたAChは次に述べるシナプス小胞(SV)のACh取り込み機構の基質となるから,分子構造がコリンに類似した薬物は基質あるいは阻害剤としてそれぞれの機構に異なった作用を示すことになる。またアセチル化されたコリン誘導体は,偽伝達物質(pseudotransmitter)となってシナプス伝達を阻害する可能性がある。
 神経終末内部に多数存在するシナプス小胞(SV)にはACh取り込み機構5)があって,合成されたAChはSV内に備蓄される。AChを含有するSVの大部分は放出に利用できない貯蔵型(stored vesicles)であり,放出に際しては動員(mobilization)6)と呼ばれる活性化過程を経て活性型(availableまたはreleasable vesicles)に転換されなければならない。この動員現象は神経終末部の活性帯(active zone)へSVが移動し,神経膜と接着するまでの一連の過程を示すと思われるが,その実態はまだ十分に解明されていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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