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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

文献概要

特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅲ.代謝的に作用する薬物 トランスミッターの放出・取り込みに作用する薬物

トランスミッター/非特異的

著者: 長谷川宏幸1

所属機関: 1西東京科学大学バイオサイエンス学科

ページ範囲:P.439 - P.440

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 「概説」
 トランスミッターの放出と取り込みを非特異的に賦活すると思われてきた薬物は多様な標的に,あるいは促進的に,また別の標的に対しては抑制的にそれぞれ広範囲な効果を示す。しかし,今日,トランスミッターの放出および取り込みの機構が解明されてくるにしたがって,その多くは効果が広範囲であり,多様である理由が類推できるようになってきた。放出(開口放出)は一般に,顆粒の細胞(シナプス)表面への移動と膜の融合という過程からなっており,細胞内における顆粒の物理的な移動には細胞骨格系と運動タンパク質の相互作用がある。この運動タンパク質系は細胞質カルシウム濃度によって直接的間接的に調節される。この細胞質カルシウム濃度はまた,カルシウムチャネルによって調節され,これは多くの場合細胞内カリウム濃度と密接な関係にある。もとより細胞内カリウム濃度はNa/K-ATPase系を駆動力とし,複数のカリウムチャネルによって調節されている。能動輸送を伴う過程は必然的にATPの産生系に依存する。これらの過程はいずれも細胞間情報伝達系にきわめて一般的であるがゆえに,これらのいずれに作用する薬剤もきわめて多様な標的に対して効果を現すことになる。むしろ,これらに作用する薬剤がそれでもいくつかの数えられる程度の標的についてのみ効果を現すとすればその際の制限要因の方が興味深いとさえいえよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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