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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

文献概要

特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅲ.代謝的に作用する薬物 酵素活性に影響する薬物

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(抗コリンエステラーゼ剤)

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第2講座

ページ範囲:P.450 - P.451

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 「概説」
 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)の可逆的阻害剤として古典的に有名なのはphysostigmineとneostigmineである。両者に共通しているのはカルバモイル結合(>N-C:O-)であり,両者はAChEによって加水分解を受ける。また,両者は四級アミンをふくんでいるので血液・脳関門を通過することができないことが予想されるが,neostigmineと違ってphysostigmineは血液・脳関門を通過する。神経・筋接合部と眼球に対して用いられる。
 有機リン剤はアセチルコリンエステラーゼの特異的不可逆阻害剤である。阻害の結果コリン作動系の活性が亢進することが中毒の原因だと伝統的に考えられているが,ドーパミン作動系,GABA作動系,セロトニン作動系の関与も否定できない(soman,THAの項参照)。中枢に働く有機リン剤のうちDFP,sarin,soman(各論参照)はフッ素をふくむphosphofluoridateの誘導体であり,tabunは代わりにCN基をふくむphosphoramidocyanidateの誘導体である。可逆的阻害剤(例:physostigmine)で前処理すると有機リン性不可逆阻害剤の作用を種々の程度に防止することができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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