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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル

Ⅲ.代謝的に作用する薬物 酵素活性に影響する薬物

アデニル酸シクラーゼ

著者: 夏苅直己1

所属機関: 1生理学研究所能動輸送部門

ページ範囲:P.452 - P.456

文献概要

 「概説」
 1.基本構造と活性制御機構
 アデニル酸シクラーゼは細胞膜結合性の酵素で,基本的にホルモンや神経伝達物質など一次伝達物質の受容体(R),GTP結合蛋白質(G),これらに共役したカタリスト(C)から構成される(図1)。この酵素の活性化によってアデノシン三リン酸(ATP)は環状アデノシン一リン酸(cAMP)に変換され,cAMPは二次伝達物質としてcAMP依存性リン酸化酵素(A-kinase)を活性化する。このリン酸化により細胞内の様々な代謝活動が発現される。
 RとGには促進性(Rs,Gs)と抑制性(Ri,Gi)成分があり,一次伝達物質刺激によるcAMPの生成をそれぞれ促進したり抑制したりする。Gはαβγの三量体から成る。脳には特異的にGoが存在する。αにも促進性αs(45/52kDa)と,抑制性αi(41 kDa)/αoがある。通常αにはグアニンヌクレオチドであるGDPが結合している(①)。β(35kDa),γ(5~10kDa)は,両方の系に共通である。RにアゴニストAが結合するとA-R-G複合体が形成されα上でGDP-GTP交換反応が行われる(②:律速段階)。この反応にMg2+は必須である。三量体形成時のRはAに対して高親和性の状態にある(R)。GTPが結合するとαは活性化されβγとともにRから解離する。この時Rは低親和性状態(R)に戻る。αs-GTP,αi-GTPはそれぞれ酵素を活性化あるいは抑制する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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