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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅲ.代謝的に作用する薬物 酵素活性に影響する薬物
プロテインホスファターゼ阻害剤
著者: 高井章1
所属機関: 1名古屋大学医学部第一生理
ページ範囲:P.462 - P.463
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C38脂肪酸のポリエーテル誘導体1)で,蛋白質セリン/スレオニン残基の脱リン酸化酵素(プロテインホスファターゼ)のうち2A型および1型(下記)に対し,強力かつ特異的な阻害作用を示す2,3)。物質名は,はじめ本邦太平洋岸に普通にみられる海綿の一種Halichondria okadai(クロイソカイメン)から抽出されたことにちなむが,実は,ある種の渦鞭毛藻類により合成され,それらを捕食する海綿や貝類など,他の海産生物に蓄積するらしい4)。
当初,平滑筋張力増強作用の検討から,プロテインホスファターゼ阻害剤であることが示されて以来5,6),心筋Ca2+チャネル2)や平滑筋Ca2+依存性K+チャネル7)などを含め,蛋白質リン酸化により調節を受ける各種の系の研究に広く使用されるようになっており,総説がある8-10)。
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