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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル

Ⅲ.代謝的に作用する薬物 酵素活性に影響する薬物

ピリドキサルキナーゼ阻害剤・活性化剤

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第2講座

ページ範囲:P.491 - P.491

文献概要

 「概説」
 ピリドキサルリン酸pyridoxal phosphateは一般にトランスアミナーゼの補酵素である。他に,グルタミン酸デカルボキシラーゼにも必要であるが,スルホトランスフェラーゼには阻害剤として働く。ピリドキサルをリン酸化してピリドキサルリン酸を作るのが酵素ピリドキサルキナーゼの働きである。ピリドキサルキナーゼを阻害するmethylxanthineは本来アデノシン受容体のアンタゴニストである。
 亜鉛はピリドキサルキナーゼ活性を促進するが,海馬には亜鉛が高濃度に含まれている。海馬の中でもhilusにもっとも高く,fimbriaでもっとも低い。mossy fiberではその濃度は300~350μMに達する。ピリドキサルリン酸と亜鉛の欠乏ないし過剰はてんかん様のけいれんを惹き起こし,GABAによって阻止される。海馬は外来神経毒の標的であるが,高濃度の遊離亜鉛は海馬に対する内因性神経毒だと言える。高濃度の遊離亜鉛はピリドキサルリン酸の酵素タンパクへの結合を妨げることによって,グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を阻害する。亜鉛は海馬でメタロチオネイン様のタンパクに結合しているらしい1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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