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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル

Ⅲ.代謝的に作用する薬物 代謝回転に作用する薬物

セロトニン減少剤

著者: 長谷川宏幸1

所属機関: 1西東京科学大学バイオサイエンス学科

ページ範囲:P.503 - P.503

文献概要

 「概説」
 セロトニンはトリプトファンから2段階の酵素反応で生成する。第一ステップはトリプトファン水酸化酵素によって触媒され,このステップは律速段階である。トリプトファン水酸化酵素は鉄イオンを要求し,トリプトファン,分子状酸素および還元型ビオプテリン(tetrahydrobiopterin,THBP)の三者を基質とする1原子酸素添加酵素である。トリプトファン水酸化酵素に対して,通常,中枢神経系組織中のトリプトファンとTHBPは飽和していないといわれている(THBPが飽和していない事態は同様にこの還元型プテリンを要求するチロシン水酸化酵素についてもいえる)。p-Chlorophenylalanineは主にトリプトファン水酸化酵素の阻害剤とされている。また2,4-diamino-6-hydroxypyrimidineはTHBP生合成阻害剤として間接的なセロトニン生合成阻害剤である。第二ステップは芳香族-L-アミノ酸脱炭酸酵素によって触媒される。芳香族-L-アミノ酸脱炭酸酵素はカテコールアミン生合成系におけるドーパ(dihydroxyphenylalanine)からドーパミンを生成する酵素と同一であって,基質,組織分布ともに特異性がゆるく,律速もしない。生成したセロトニンは顆粒中に蓄えられ,開口放出される。放出されたセロトニンの一部は再取り込みによって回収される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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