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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

文献概要

特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅲ.代謝的に作用する薬物 代謝回転に作用する薬物

セロトニン神経毒

著者: 長谷川宏幸1

所属機関: 1西東京科学大学バイオサイエンス学科

ページ範囲:P.504 - P.504

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 「概説」
 セロトニン神経毒にはおもに二つのグループが知られている。一つは5,6-または5,7-dihydroxytryptamine(DHT)とその誘導体であり,もう一つはP-chloroamphetamine(PCA),3,4-methylenedioxymethamphetamine(MDMA),fenfluramineなどのアンフェタミン関連物質である。DHT類はセロトニン神経細胞に取り込まれてその細胞を破壊すると考えられている。その細胞破壊の機構については,細胞内における酸化反応において活性酸素を放出するためであるとの考えが有力である。DHT類は比較的特異性が高く,中枢におけるセロトニンニューロンの研究には頻繁に用いられる(Ann. N. Y. Acad. Sci.,Vol.305,1978に詳しい)。とはいえカテコールアミン神経にも影響が出るので使用に当っては注意を要する。一方,アンフェタミン類は初めは神経終末の貯蔵部位からセロトニンのみならずモノアミン類の遊離を促し,可逆的なセロトニン減少から,やがて神経線維の消失へと進む。MDMAは特異的かつ長期にセロトニン神経を変性する。セロトニン神経の神経線維を傷害していく機構についてはほとんどわかっておらず,現段階では,研究の道具としてよりはむしろ研究対象として,関心が寄せられている(Ann. N. Y. Acad, Sci.,Vol.600,1990に詳しい)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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