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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅲ.代謝的に作用する薬物 代謝回転に作用する薬物
ソマトスタチン減少剤
著者: 浅沼幹人1 小川紀雄1
所属機関: 1岡山大学医学部脳代謝研究施設機能生化学部門
ページ範囲:P.505 - P.506
文献購入ページに移動somatostatin(SS)は下垂体からの成長ホルモン分泌を抑制するホルモンとして視床下部から発見された14個のアミノ酸から成る神経ペプチドである(SS-14)。SSmRNAからSSの前駆体preprosomatostatinが翻訳され,プロセッシングをうけprosomatostatin,さらにSS-14あるいはC末端にSS-14を含む28個のペプチドSS-28が生成される。脳内のSS濃度は視床下部で高いが,含量としては大脳皮質>脳幹>視床下部>視床>小脳に多く,視床下部以外では大部分がSS-14である。SSは脳室内あるいは辺縁系への投与による体軸回転運動誘発,痙攣発作誘発,REM睡眠抑制,体温調節など種々の作用を有しており,キンドリングラットの大脳皮質・辺縁系での増加,Alzheimer型痴呆患者,痴呆を有するParkinson病患者の大脳皮質での低下,Huntington病患者線条体での増加なども認められている。SS濃度はamine,acetylcholine,endorphin,TRH,neuropeptide Y,GABAなどにより様々に変化するが,とくにdopamine(DA)系の変化に伴い二次的に影響される。SS減少作用を有する薬物は,痴呆とSSの関連の研究に頻用されるcysteamineのように,SS系に直接作用すると考えられるものと,DA減少剤のように間接的に作用するものに大別されるであろう。
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